八ヶ岳は、北の蓼科山(たてしなやま・標高2,530m)から南の編笠山(あみがさやま・標高2,524m)まで南北約25kmの距離におよそ20の峰が連なる山々の総称だ。最高峰の赤岳(あかだけ・標高2,899m)を筆頭に高山が連なり、連峰の雄大な景色が望める。
そんな八ヶ岳も初夏を迎え、本格的な登山シーズンが到来。今回は八ヶ岳の南端に位置する編笠山を紹介したい。「編笠」のような山容が由来となっている編笠山では360度パノラマや、八ヶ岳の盟主が望め、気象条件によっては広がる雲海の先に富士山を望むこともでき、眺望が素晴らしいおすすめの山だ。
■観音平から約3時間、押手川分岐からは登りがいのある道のり
紹介するのは観音平登山口から編笠山山頂を目指すルートだ。観音平までは中央自動車道・小淵沢ICから約15分で到着でき、アクセスも良好。第一駐車場と第二駐車場があり、広いスペースが用意されている。
登山口を出発するとしばらくは穏やかな傾斜の樹林帯が続き、ゆっくりと標高を上げるため、森の清々しさや鳥のさえずりに耳を傾けながら楽しく歩けるだろう。
6月といえど、登山口でも標高1,500mを超えているため、朝は冷えることもある。防寒着は忘れないようにしたい。筆者も出発時にはフリースを着用していた。
まずは編笠山山頂方面と、青年小屋(せいねんごや)への分岐点になる押手川(おしてがわ)を目指す。所要時間は約1時間45分だ。途中、標高1,880m地点には展望地となる「雲海」があり、木々の向こうに富士山を望む。ベンチもあるので、休憩をとるのにも最適だった。

序盤では緩やかだった登山道も標高を上げるとともに傾斜は急になってくる。押手川の分岐点からはより一層急になるため、しっかりと呼吸を整え、エネルギーをチャージしてから山頂を目指そう。

筆者が初めて訪れた時はこの傾斜に苦戦し、風景などを楽しむ余裕がなかったが、登山道には美しい「苔」が多く生息しており、あちらこちらで日光に当たり輝く苔を楽しむことができる。山頂に向けて急ぐのではなく、意識的にペースを落とし、ミクロの風景も楽しみながら山頂を目指してほしい。
