夏目前になると登山者はにわかにざわつき始める。登山のハイシーズンである夏は「休みを取って憧れの山に挑戦しよう!」という話題で持ちきりだ。

 夏山特有の青く澄んだ空、どこまでも続く稜線、ほっと一息ついた時にのどを潤す飲み物……。夏山はどのシーンを切り取っても最高なのである。

 日帰りではなかなか行くことができない遠方の山へ出向いて、数日間の日程を組んだ場合、宿泊は山小屋泊かテント泊の2択になる。

 そこで今回は、テント泊に挑戦する際の必須アイテム、あると便利なアイテムの紹介と、筆者が体験し学んだテント泊をするにあたって気をつけるべき点を紹介したいと思う。

■必須アイテム  

●寝る際の気温に適した寝袋・マット

 テント泊登山を行う者の間で必ず議論になるのが、どんな寝袋を選ぶかということだ。人によって快適に感じる温度域や、どこまで軽量コンパクト性を求めるかは個人差が大きく、テント泊登山の行程全体を通して見た場合、重要な役割を占める。

 山の気温は標高が100m上がるごとに0.6℃ずつ低くなると言われる。寒くて寝られなかったということがないように、寝る際の気温に適した寝袋を選ぼう。

 また、マット選びも重要。地面からの底冷えをカットする断熱素材のものは暖かいが、かさばるというデメリットがある。これも自身の登山スタイルに応じて選択すると良い。

●グランドシート

 グランドシートはザレ場、ガレ場が多いテント場でテントのフロアを石などによる傷から守ってくれる役割がある。

 また、雨や結露がフライシートから滴ったり、地面との間の結露のせいでテント内部が濡れてしまうのを防いでくれる。特にダウンの寝袋は濡らしてしまうとロフト(かさ高さ)が失われてしまい、保温力がなくなってしまうので濡らしてはいけないアイテムだ。

●ヘッドランプ

 日没を迎えるとテント場は真っ暗。テント場は特に足元に注意が必要で、他のテント泊者が張っているテントから伸びる張り綱はどこに張っているのか予想もつかない。

 また、先述のようにテント場は足元が悪いので躓く可能性が高い。携帯のライトを使ってもいいが、片手が塞がってしまうのでバランスが取りにくく案外歩きづらいのだ。