さまざまな国産アウトドアギアを手掛ける株式会社HCS(エイチシーエス)。そのドメスティックブランドのひとつが山岳テントの「PUROMONTE(プロモンテ)」だ。「より軽くよりコンパクト」なことを目指し、なおかつあらゆる条件下で快適に過ごせる高機能テントが揃う。

 このうち「VB」シリーズは超軽量なシングルウォールのアルパインテント。もともと「VB-11」の1人用のテントがあったが、これに前室がプラスされた「VB-12Z」が新たにラインナップに加わった。

HCSが手掛けるさまざまなアルパインテント

 

■「VB-12Z」のメリットは?

60cmのスペースがある前室に登山靴などを置けるのでテントの居住性がアップする

 ダブルウォールはインナーテントの上にフライシートを被せる2層構造になっているのに対し、シングルウォールはフライシートが付属しない1枚の生地で構成されているテントのこと。フライシートを必要としない分、軽量になることと、設営や撤収が素早くできることがメリットだ。しかし、フライシートがないため出入口に前室と呼ばれるスペースがなく、登山靴などを外に出しておくと雨や夜露で濡れてしまうことがあるため、濡らしたくないものはテント内に収納しなければいけなかった。

 こういったデメリットを解消してくれるのが、新登場の「VB-12Z」だ。シングルウォールでありながら前室が付属し、泥で汚れた登山靴やポール、バーナーなどを外に置いておける。テント内のスペースにゆとりが出て、ゆったり過ごせるからうれしい限りだ。

前室付きシングルウォールテント「VB-12Z」

 

■居住性を重視した3レイヤー構造

軽量化を図りつつ、強度や居住性を犠牲にしない設計にこだわった

 「VB-12Z」のテント本体は、間口(横幅)205cm、奥行き90cm、高さ100cm。これに60cmの前室がプラスされることで収納スペースがグッと広くなる。

 また、テント本体生地は3レイヤーで構成されている。表地は20デニールのリップストップナイロンを使用し、裏地は7デニールの薄いトリコット生地にすることで、湿気をコントロールし、メンブレンは「東レ」の高通気エントラント採用することで大幅な結露低減を実現している。

■通気性の高さにも着目

インナーテントの下部をメッシュ状にできるのでテント内でゴロ寝しながら風を感じられる

 シングルウォールのテントは防水性や透湿性を高めたものが多いが、このテントは「プラス通気性」の高さもウリのひとつにしている。まず、前室付きにすることで、入口パネルは防水素材ではなくダブルウォールテントと同様の通気撥水素材を採用し、湿気は入口パネルより大量排出できる。

 また、入口部分は下部が2層になっていてファスナーを開けるとメッシュになって外気が入りやすくなる。さらに、テント背面や前室の上部にも通気のためのベンチレーションを付けて通気効果を高め、暑い時期や蒸れやすい場面でも、テント内をどんどん通気して快適に過ごせる工夫がされている。

前室の上部には大きく開くベンチレーションがあるのもこのテントの特徴
背面には一般的なテントと同様に外部からの通気を促すベンチレーションを搭載している