ミズバショウやニッコウキスゲなど、季節ごとの花が美しい国立公園の「尾瀬」。その尾瀬の2025年の山開きが、5月30日に新潟県魚沼市で行なわれた。会場となったのは、総貯水量6億トン以上を誇る日本最大の人工湖「奥只見ダム」。当日は用意された特設会場で、安全祈願や式典、地元魚沼市の消防音楽隊による演奏が行なわれ、希望者は奥只見湖をめぐる遊覧船の乗船体験もすることができた。

■魚沼市では6年ぶりの開催

尾瀬の山開きは毎年この時期に行われており、主要な入山ルートのある魚沼市、檜枝岐村(福島県)、片品村(群馬県)が持ち回りで合同開催。魚沼市で開催されるのは6年ぶりとなる。また、会場となった奥只見ダムはダム湖で遊覧船を運行しており、船とバスを乗り継いで尾瀬へと向かうことができる入山口のひとつだ。
■シーズン中の安全を祈願

山開きの祭典には、魚沼市、片品村、桧枝岐村などの自治体、環境省、尾瀬山小屋組合などの関係者が出席。シーズン中の安全祈願の神事では、各団体の代表者による20名が玉串を捧げた。各団体代表が玉串を捧げるために一人ずつ祭壇に向かうと、席に残ったその団体の職員も立ち上がり、代表者に合わせて二礼二拍手、そして最後に深々と一礼をする。
■主催者の挨拶と来賓の祝辞

主催地である魚沼市の市長による挨拶では、「ここで山開きが行なわれるのは令和元年以来の6年ぶり」と開催できた喜び伝え、市内の6つの小学生の生徒に尾瀬観光学習を行なっている活動にも触れ、「自分の住む魚沼市に尾瀬があること伝え、尾瀬国立公園を愛してもらえるようにしてきたい」と、地元の子どもたちの郷土愛を育んでいく思いを告げた。
■テープカットとともにシーズンが開幕

自治体や環境省による祝辞が述べられたあとは、テープカットが行なわれた。テープがカットされると魚沼市消防音楽隊がファンファーレを生演奏。その後、アトラクションとして音楽隊が「はるかな尾瀬」の歌詞で知られる『夏の思い出』を演奏。続いて、日本の原風景を思い起こさせる『ふるさと』も演奏されて、和やかな雰囲気のなか山開きの祭典は締めくくられた。

■遊覧船の乗船体験も

山開き会場の奥只見ダムに貯められている水は尾瀬沼に水源がある。ダム湖である奥只見湖では遊覧船の観光が楽しめ、船によって尾瀬に向かうルートも整備されている。このルートは6月1日から開通し、それに先立ち、山開きの祭典のあとに遊覧船の乗船体験も開催された。湖を40分かけて周遊するルートで、秘境「奥只見」の雄大な自然に触れることができた。

環境省によると、昨シーズンの尾瀬は15万人を超える来場者があり、外国人観光客も増えたという。また、冬の積雪が多かった今シーズンは、「やはり雪が多いとミズバショウが豊富」との声も聞く。雪解け水がもたらす恵みによって、美しい花を咲かせるミズバショウ。この純白の花が春の訪れを告げると、次々と花が咲きはじめ、尾瀬はいっそう華やかになる。

