■コケと新緑と岩壁が見事! 東京が誇る渓谷道「御岳山ロックガーデン」
御岳山ロックガーデンは、その舗装路のエリアから一歩奥へと進んだ先にある、自然道が続く渓谷。漢字で「岩石園」と書くことからもわかる通り、険しい岩壁に挟まれた沢に沿って遊歩道がついている。この道はとてもよく整備されていて歩きやすく、山歩き初心者から人気が高いことも頷けるというもの。
ロックガーデンの魅力のひとつは、コケに包まれた岩石の美しさだ。新緑の季節を迎えると、水辺にはコケが、頭上には樹木が、それぞれ強烈な緑の色彩を放つ。まるで緑のドームの中にいるかのような感覚。そこに涼やかな谷の風が吹き、訪れたハイカーを癒してくれる。
加えて、登山用語で「ゴルジュ」と呼ばれる、左右にそそり立つ岩壁の見事さも大きな魅力。見上げるほど大きな岩の間を美しい沢が流れていて、じっと目を凝らせばそこにヤマメを発見することもできる。夏の避暑、秋の紅葉、春から新緑にかけた木花の芽吹きと、四季を通して何度でも歩きたくなる道だ。
沢沿いのルートゆえ、大雨には注意しなければならない。渓谷だけに滑りやすい場所があるし、増水時には靴が濡れてしまうような水量になる可能性があるためだ。山歩きに適したシューズをはじめ、雨具などの装備は必須である。左右に狭い遊歩道は、ひとたび増水するとあっという間に水位が上がるだろうし、たとえ防水の登山靴や雨具など充分な登山装備でも、進退が困難な状況になる可能性だってある。出発前に天気予報を確認して、無理のない判断をしよう。
とはいえ、少雨のときに歩くロックガーデンがとても美しいことも、ここに書き添えておきたい。武蔵御嶽神社までの舗装路の道のりに霧が立ち込めた日は山の神秘を感じることができるし、雨音に耳を癒されながら歩く渓谷はすべてにおいて艶やかで、大いに五感を刺激してくれる。ときにはそういう山歩きだっていいものだと、ぼくは思うのだ。
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