●概要
群馬と新潟の県境に聳え立つ谷川連峰の主峰、谷川岳は多くの登山者が憧れる山だ。夏は高山植物が咲き誇り、冬は一面白銀の世界となり通年にわたり、登山客が訪れる。日本海側からの湿気を一身に受け止めるため、急激な天候の変化や突風に見舞われることもこの山は多い。山岳事故件数の多さから畏れられるこの山だが、谷川岳ロープウェイを利用したルートならば比較的容易に登れる。
山頂付近からは東西南北に続く連峰の稜線を見渡すことができ、まさに絶景と言える景色が心を掴んで離さない。山の頂はトマノ耳(1,963m)とオキノ耳(1,977m)から成り、最初にトマノ耳の頂を踏み、その後10分かけて奥にあるオキノ耳へ行くことになる。
●ルート&見どころ
ロープウェイ山頂駅を降りると天神平スキー場のゲレンデが広がっている。右手の高山植物が咲く花畑を抜けると登山道がある。50分程歩くと熊穴沢避難小屋が見えるので、ここで一旦小休止しよう。ここからは勾配も多少きつくなり、天狗の留まり場と呼ばれる岩場もでてくる。混雑時はここで渋滞が起きることもあるので、繁忙期は早めにここを切り抜けたい。ここで後ろを振り返ると沼田の市街地がはるか遠くに見える。岩場を過ぎ、階段が現れれば、山頂まであと一息だ。ここから左手に谷川連峰の主脈、万太郎山、仙ノ倉山、平標山が見え、2,000m級とは思えないほど切り立った山々が立ち並ぶ。
谷川岳肩の小屋まできたら双峰まであと一息だ。まずはトマノ耳、続いてオキノ耳の頂上を踏む。この付近は風が強く、雲に包まれることもあるので足元に気を付けて進もう。双耳峰の頂上はそこまで広くないが、天候さえよければ最高の景色を楽しみながら休憩したい。オキノ耳の先には富士浅間神社の奥の院がひっそりと建立している。時間があればここまで来るのもいいだろう。
また、肩の小屋から分岐する西黒尾根は上級向きなので、進まないこと。
●ロープウェイ下山道を下る
下山は田尻尾根を下っていくルートもあるが、こちらは健脚向き。天神尾根コースの往復だけでも最低3時間半はかかるので、体力に余裕があったらさらに満喫するためにこちらを選ぶのもあり。
●ロープウェイで15分間の空中散歩
土合口駅から出る谷川岳ロープウェイは2本の架線に一機がかかるユニークな牽引方法が特徴だ。22人乗りのゴンドラが約1分おきに発車しているが、繁忙期は混雑することもあるので注意が必要だ。長さ2,400m、高低差573mの山をぐんぐんと登っていく。ゴンドラの下には登山道が延びており、ロープウェイを利用しない場合はこちらから登っていくことになる。標高をあげると後ろ正面に谷川連峰の白毛門が聳える。さらに標高を稼ぎたい場合は、天神平から観光リフトを使ってプラス183m昇ってからスタートできる。