ただ単に、「気持ちいい」「スッキリした」などでは表現しきれないサウナのトランス状態。それを強引に言語化したのが、“ととのい”という言葉だ。“ととのい”には特にこれといった定義はないが、実際に心身はどんな状態になっているのだろうか?

 今回は、体と脳と心の3方向から考えてみた。

■「体編」血流的なととのい話

 血流ってのは、人間の体の調子に大きな影響を与えている最重要要素だ。僕は医者じゃないので細かいことは言えないが、実感として以下のことが体に起きているのを感じている。

<サウナ内>

・発汗とともに、体内の血流も促進されてきた〜

・動いてないのにジョギングしている時のようなあの感じ。血が巡り出した!

<水風呂>

・サッと水風呂に入ると、体の表面上の毛細血管がキュッと収縮!

・それによって体内の太い血管の血流がさらにアップした!

<外気浴>

・太い血管の血流が促進されて、血が脳にまで巡ってくる感覚がわかる!

・首筋から眉間、そして脳にかけてのドクンドクンの快感がたまんない。

・ああ、ふわふわとぐわんぐわんが気持ちいい〜 あ、あ、あ……

・ととのった〜

 という流れ。血流がドクンドクンと流れていくのを感じるのは(特に脳に向けて)、なんとも言えぬ快感なのだ。ともすれば、あの“ぐるーん”となる感覚が苦手だったり、怖いって感じる人もいるかもしれないが、慣れてしまうと病みつきになる。

ドクンドクンとふわふわに身を委ねる。恍惚のお時間

 しかもそれによって、脳内の老廃物が排出されてスッキリしたり、アルツハイマー予防や睡眠の質の向上にもつながる。また、疲労回復や肩こり・腰痛の解消にも効果があり、代謝が上がることによって痩身効果もあるのだ。ただでさえ気持ちいいのに、お得すぎやしないかい?

■「脳編」自律神経的なととのい話

 現代人は自律神経のバランスが乱れていると言われている。自律神経には、活動しているときに活発になる「交感神経」と、リラックスしているときに活発になる「副交感神経」の2種類があって、そのバランスが崩れると体調や精神に悪影響が現れ、ひどい場合はうつ病になることもある。では、サウナがこの自律神経にどう影響を与えているかと言えば、以下の感じだ。

<サウナ内>

・熱い! 体が勝手に生存危険信号発令! フル活動で体の機能を守れ〜(交感神経優位)

・体は大忙し! その間、脳の思考は強制スリープ状態。なんも考えられねえ(副交感神経優位)

<水風呂>

・冷てえ! 体がさらにに生存危険信号発令! フル活動で体の機能を守れ〜(交感神経優位)

・体は大忙し! その間、脳の思考は強制スリープ状態。やっぱなんも考えられねえ(副交感神経優位)

<外気浴>

・解放された! 体の生存危険信号解除。スーパーリラックスモード〜(副交感神経優位)

・脳のスリープ状態解除! 溢れ出るアドレナリンと幸せ三銃士 ※後述(交感神経優位)

・脳はスッキリしてるのに思考はトロトロ、体は超リラックス〜

・ああ、ふわふわとぐわんぐわんが気持ちいい〜 あ、あ、あ……

・ととのった〜

 というわけ。この交感神経と副交感神経が脳と体で行ったり来たりして、同時にそれぞれが優位になっている状態は、おそらくサウナでしか起こり得ない現象だ。また、脳が強制スリープすることって日常生活ではなかなかなくて、脳の疲労も軽減される。

情報過多の現代人。こんな時こそ脳をしっかり休ませたい

 外気浴中に出てきた幸せ三銃士とは「β-エンドルフィン」「オキシトシン」「セロトニン」の3つの物質のことを指す。

 「β-エンドルフィン」は、鎮痛効果や気分の高揚・幸福感が得られるもの。「オキシトシン」はストレスの緩和。「セロトニン」はうつ症状の改善や精神安定の効果があると言われている。