宿泊が伴う山行や遠距離の移動はなかなかできない……。だから都市部から近く、そしてできるだけ有名な山に登りたい。ここではそんな欲求をかなえる日帰り可能な百名山の中から、比較的登りやすい山々を紹介しよう。

 ロープウェイやシャトルバスを使って標高を上げられて、整備された登山道で鎖場や岩場などが少なく、行程時間も5~6時間未満。それでいながら眺望抜群かつ、新緑や紅葉など四季の景色も美しい山をピックアップ。標高2,000~3,000mの山まで、それぞれ個性あふれる山を今年は歩こう。

●日本百名山とは?

 随筆家で登山家の深田久弥が、実際に登った山から選んだもの。それらは山岳紀行『日本百名山』に掲載されている。高い山だけが選ばれているわけではなく、山の歴史や個性、品格などを見て選定されている。100座制覇を目指す“百名山ハンター”と呼ばれる登山者もいるほど。

■金峰山(きんぷさん)標高:2,599m【山梨県】

歩行時間:4時間50分 
技術レベル:★☆☆☆☆ □体力レベル:★★☆☆☆

 奥秩父の名峰で秩父多摩甲斐国立公園内に位置し、山頂からは南アルプス、富士山、八ヶ岳の眺望がすばらしい山だ。車で到達できる最高地点「大弛峠」からスタートし、気持ちいい稜線歩きができるとあって、初級者にも人気だ。

頂上部は遮るものがない爽快な登山道

 スタートは大弛小屋から。標高2,599mの金峰山まで標高差は230mほどあり、アップダウンを繰り返しながら稜線を歩ける。天気が良ければ、富士山を望みながら気持ちのいい歩きが続く。朝日峠を越えるとややきつい勾配の林道を行き、展望が開けたらまもなく朝日岳(2,579m)。ここからは急な下りと緩やかな登り。賽の河原と呼ばれる展望地にくると、稜線の先に金峰山、瑞牆山の奥秩父の山並みから、遠くは富士山までが見通せる景色。

 ここまで来れば、金峰山はもう目の前。歩きやすい道のため、2時間半で頂上へ到着。山頂には巨大な五丈岩がシンボル。見晴らしがよく、周辺には岩の上に座れるスペースがあるので、ランチや休憩に最適だ。

 ほかにも廻り目平キャンプ場にテント泊して登るルートもオススメ。こちらのキャンプ場は車の乗り入れが可能なので、テントを張って快適な時間を過ごしてから登山に望める。

廻り目平キャンプ場のそばには清流が美しい金峰渓谷がある