■「歩き出す前に登山は始まっている」 今一度自分の計画を見直すチャンス!
相談所にいて感じるのは、同じ日程で同じルートを予定している登山者でも、その行程に対する理解の幅が大きく開いていること。
登山届が役に立つのは、何も事故が起きた後だけではない。
その内容は自分たちの山行計画を俯瞰的に確認するための「登山計画」と類似する。本来、安全な登山の成功を願うなら「同定表」の作成もするべきだ。あらかじめ行動計画と向き合うことで、より客観的に山行を判断することができる。無理のある部分や疑問点も出てくるかもしれない。それらを見直すことも登山届・計画書の役目。安全登山への第一歩だ。
さらに可能ならリーダー(代表者)だけでなく、パーティー全員が登山届に目を通して理解していることも重要だし、山行中の行動にも役立つだろう。
予定して山岳遭難する人はいないはず。どれほど山を熟知していても、手軽な簡単なルート(?)でも起こりえる可能性はゼロではない。実際、「なぜ?」というような場所でも事故は発生している。登山届が、不測の事故で最悪の事態にならないための最後の“砦”となるかもしれない。
帰りを待つ人たちのためにも、自分を守る大切なツール「登山届」をしっかりと装備しよう。