■挨拶がわりの3本の矢

 川へのアクセスポイントはいくつかある。僕が旅をしたときは電車移動をベースとして考え、JR美濃太田駅で下車し、途中でコンビニに寄りつつ、徒歩15分で木曽川緑地ライン公園に到着してスタートした。

 最初に出てくる大きな橋を越えると、一気に“木曽川劇場”が開幕する。そこからは「大濤の瀬」、「鷺の瀬」、「可児合の瀬」というビッグな3本の矢が波状攻撃で襲いかかってくる。瀬の途中にはホール(岩の下流側の段差に大きく落ちた水の流れが反転してできた渦)やボイル(深く潜った水流が再び水面へ浮上する場所)があり、そこにハマると非常に不安定な状態となって初心者は沈(転覆)の可能性がある。一方、中級者以上のパドラーからすると、迫力あるスタンディングウェーブをロングに楽しめるとあって、爽快そのものの区間となっている。

様々な川の要素が詰まっていて勉強になる

■奇岩怪石のオンパレード!

 3本の矢を越えると、そこから突然景色が一変する。両岸の岩がせり上がり、岩壁と奇岩怪石のオンパレードが始まって、街の中を流れている川とは思えないほどの秘境感を味わえる。

このような迫力ある岩風景が3.5kmに渡って展開していく

 この区間は「日本ライン」と呼ばれており、その風景がヨーロッパ中部を流れるライン川に似ていることからその名がついた。かつては和船による川下り遊覧ができる「日本ライン下り」が運行されていたが、現在は営業休止となっている。

 このように観光船が走っていた川は比較的釣り師とのトラブルなく下れるので、夏の川下りで選ぶべき川のいい基準になる。覚えておこう。

<後編に続く>