釣具屋の釣り針コーナーに目を向けると、ありとあらゆる種類が所狭しと並べられている。よくよく見てみると、形状が微妙に違うものなのだ。釣り針の種類や形状による違いを理解している釣り人はどれくらいいるのだろうか。

 ここでは釣り針の形状について、なぜそのような形になっているのかを解説してみたい。

■釣り針の形状は大きく分けて5種類

 形状は5種類に大きく分けられる。丸セイゴ針、伊勢尼針、ムツ針、流線針、袖針だ。それぞれの特長を見ていこう。

■丸セイゴ針

 丸セイゴ針は、最もスタンダードな形状でいろいろな仕掛け、数多くの対象魚種に使用されている。針選びに迷ったときは、丸セイゴをチョイスしよう。強度や針掛かりの良さ、使い勝手などあらゆる状況で使いやすい。

■伊勢尼(いせあま)針

 伊勢尼針は、太く強靭な軸でフトコロが広いのが特長だ。そのため魚が口に針を入れると針掛かりしやすく、大物にも対応しやすい。デメリットはフトコロが広い分だけ根掛かりが多くなる。そのため底にエサを入れる釣りには向いていない。

■ムツ針

 針先が内側に入っている「ネムリ」と呼ばれる部分が特長のムツ針。エサを丸飲みするようなターゲットでも喉の奥では針が刺さりにくく、口元で掛かりやすい形状となっている。また、海底まで針を落としたときに障害物などに引っ掛かりにくいのもメリットだ。そうしたメリットとは引き換えに、魚への針掛かりが他の釣り針に比べると低めである。

■流線針

 キス釣り用の針によく使われているのが流線針だ。丸セイゴのような形状をしているが、針の軸が長くなっている。これはイソメやゴカイなどの虫エサを付けたときに、胴の部分まで通して安定させやすいため。

■袖針

 形状を見ると「袖」のように軸と針先の部分が平行になっている袖針。小物釣りによく使われており、細身で針ごと吸い込みやすい形状となっている。釣りやすい針だが、強度の点から考えると大物釣りには不向き。

■針の特長とよく使われる釣りをチェック

 釣り針には形状だけでなく、部分的に見るとターゲットに合わせた特長を持っているのがおもしろい。釣り針を選ぶときに見るべきポイントにもなるため、ぜひ覚えておきたい。

●カエシ

 針先を見ると、刺さったら抜けないように逆に突き出ている部分がある。これをカエシと呼ぶ。カエシはどの針にでもついているわけではなく、ヘラブナ釣りなどリリースを前提とする釣り針には、カエシのないスレ針が採用されている。

●ケン

 流線針によく使われるのが「ケン」という部分。これはエサを刺したときに、抜けてしまわないようにするストッパーの役割を持っている。「ケン付○○針」と表示されている釣り針には、このケンがついている。

●ネムリ

 針先が内側へ強く湾曲している部分をネムリと呼ぶ。ムツ針や東京湾や相模湾の船アジ仕掛けに見られる形状。喉の奥での針掛かりがしにくい、根掛かりしにくい、という2つのメリットがある。根魚と呼ばれる釣り物では、ネムリがついた針が活躍してくれるだろう。