私は長らく、一年を通して海や山などのフィールドを問わず、“アウトドア料理”を作ることを生業にしている。

 いわゆる「キャンプ料理」をメディアで紹介するようになったのは、『フィールドライフ』というフリーペーパーがきっかけだった。創刊翌年の2004年から「キャンプ料理」と題した連載ページを担当し、現在まで20年近く様々なレシピを紹介し続けてきた。

自分の人生を変えたフリーペーパー。写真と名前入りで料理を紹介している。この時から小雀陣二=料理の人となった

 誌面では、主に登山やシーカヤックなどアウトドアアクティビティを紹介しており、それらを楽しむための「手段」として必然となるキャンプを少しでも楽しく有意義な時間にしたいと考え、スタートしたものだ。

 当時の担当編集者達と志を一つに雑誌を作り、自分は得意な料理で「食」を担当した。食べることをきっかけに、少しでも多くの人がアウトドアフィールドに出て、自然と触れ合い、新しい楽しみや発見、経験をして欲しいと願いながら続けてきた。

■「キャンプ料理」の定義は非常に曖昧

キャンプ料理の代名詞。ダッチオーブン料理。憧れが多い道具と手法だ。特に上下から炭でローストするオーブン料理は見栄えも大胆で好まれる

 そもそも「キャンプ料理」とは一体、どのようなものだろうか。その定義は、とても曖昧だ。

 焚き火や炭火を使った料理、燻製、ダッチオーブンやBBQなど、屋内では作りにくい料理を含めて、キャンプをしたときに食べる料理全般を「キャンプ料理」と認識している。つまり、手の込んだ料理からレトルトのカレーまで、キャンプで食べればなんだって「キャンプ料理」である。

 自分が誌面などで「キャンプ料理」のレシピを提案するときは、食卓を囲んだ仲間たちから「わー、おいしそう!」という声が聞こえてくるようなシーンをイメージして、食材選びと盛り付けを考えている。

 そして、さらに大事にしているのは「レシピが簡単」なことと、「作っていて楽しい」こと。材料とレシピを見た読者が、「これなら簡単で自分でも作れそう」と思えるように、できるだけ手順を簡略化することも大切なポイントだ。