「音海(おとみ)半島」は、福井県大飯郡高浜町の「若狭湾国定公園」内にある小さな半島だ。この半島の岩礁に囲まれた地形には、多くの魚が棲み着いている。したがって音海半島は、一年中釣り客で溢れている有名な釣りスポットだ。

 筆者は子どもの頃から釣りを趣味としているが、大人になってもまったく腕が上がらない。家族や友人からは「釣れたのを見たことがない」と言われ続けている。

 そこで音海半島で汚名返上に挑むことにした。

■サビキ釣りで数を釣って汚名返上に挑む!

 釣りで有名な音海半島で、誰でも釣れる定番のサビキ釣りなら、絶対に釣れるはずである。サビキ仕掛けを購入し、音海半島に繰り出した。

 向かった釣り場は音海半島の東部で、目の前に「風島(かぜしま)」という無人島が見えるところである。そこは、驚くほど透明度の高い海水で、海の底まで丸見えだ。竿先から糸を垂らすと、魚が寄ってくるのがはっきりと見える。爆釣は間違いない。

 そして結果的に、爆釣とまでは行かないが、釣れるには釣れた。

サビキのオキアミに寄ってくる魚たち。かなり深いのだが底までハッキリ見える(写真:野口宣存)
釣れるのは小魚ばかり(写真:野口宣存)
外海なのにハゼもいた(写真:野口宣存)
魚種が豊富である(写真:野口宣存)

 ところが、釣れるのは10cmにも満たない小魚ばかり。他にもたくさん釣り人がいるにもかかわらず、野良猫たちが筆者のところにやってきて隣に座っている。筆者には小魚しか釣れないのをわかっているようだ。

猫たちは、小魚しか釣れない人間がわかっている(写真:野口宣存)
次々と魚をもらいにやってくる猫たちに、癒される(写真:野口宣存)

 結局、汚名返上とはならず、音海半島の小魚を猫にあげて一日が終わった。

■まわりの人たちは爆釣だった

 筆者が釣れなかったからといって、音海半島が悪いわけではない。まわりの人たちは爆釣だった。

浮き釣りで爆釣だった地元の達人は、30cm超の魚を小さいという(写真:野口宣存)
気軽に撮影に応じてくれた常連の達人は、エギで大きなタコを何匹もあげていた(写真:野口宣存)

 この日、サビキ釣りをしていたのは筆者だけで、ほとんどの人がエギングか、浮き釣りであった。エギでタコを何匹も釣りあげている方もいた。筆者は釣り方を間違えたのかもしれない。気付けば、釣れた方の写真を撮らせてもらうことに専念していた。