夏は登山やアクティビティ、冬はスキー場でウィンタースポーツを楽しめる天元台高原は、四季折々の楽しみがあるレジャーの拠点。山麓には「白布温泉」と「新高湯温泉」の2つの温泉があり、老舗旅館に滞在しながら心身を癒すことができる。温泉街には飲食店や土産屋などもあるので、高原レジャーとともに観光も満喫していこう。(※現在[2022年5月時点]は、日帰り入浴の受け入れを中止している旅館もあります。利用の際は事前に確認・問い合わせをお願いいたします。)
■開湯700年余りの歴史ある「白布温泉」
「白布温泉」は米沢市街地から車で30分ほどの距離。山形県の「蔵王温泉」や福島県の「高湯温泉」とともに奥羽三大高湯のひとつに数えられる名湯だ。正和元年(1312年)、鎌倉幕府の御家人が仏門に入り、修業で吾妻山に分け入る折にこの温泉を見つけたことがはじまりで、開湯から700年以上の歴史をもつ。
この温泉地は、江戸時代から続く老舗旅館「東屋」「中屋」「西屋」があることでも知られ、どの旅館も自慢の温泉を用意している。また、米沢牛や山形牛、鯉や岩魚の川魚、米沢の名酒など、郷土料理が味わえるのも伝統的な旅館ならではだ。
■豪快な打たせ湯が、名物の「東屋」
白布温泉の開湯とともに歩んできた「東屋旅館」は、慶長8年(1603年)に現在地に移転。江戸時代から明治期まで米沢藩主上杉家の保養御殿として利用されてきた由緒ある温泉旅館だ。館内は木材をふんだんに取り入れた温もりに満ちた空間。
ロビーには火縄銃などが展示されており、米沢藩の家老、直江兼続がこの地で鉄砲製造させていた白布温泉の歴史に触れることができる。代々の殿様が浸かったと伝わる温泉は、2階ほどの高さから打たせ湯が落ちる「滝風呂」が名物。大きな岩を手彫りでくり抜いたという一枚岩の「石風呂」や、バリアフリー設計の「家族風呂」などもあり、源泉100%かけながしの湯を贅沢に堪能できる。
■茅葺き屋根が特徴の「西屋」
山間ののどかな街の中心部に「東屋」「中屋」「西屋」の旅館が集まり、小さな温泉街ながら風情がある。以前は3つの旅館はどれも茅葺き屋根だったが、火災により東屋や中屋は焼失してしまい、現在は茅葺き屋根が残っているのは西屋のみだ。西屋の温泉は湯治場の面影が残り、湯船には江戸中期に職人が切り出したという大きな御影石が使われている。源泉を滝のように浴びる「湯滝」も、湯量が豊富な白布温泉ならではの豪快さだ。
■最上川源泉の渓谷を一望できる「中屋別館 不動閣」
中屋は焼失後、少し離れた場所の「中屋別館 不動閣」で営業を続けている。最上川源流沿いに位置し、「黎明館」「不動閣」「渓谷館」の3つの建物が連なり、それぞれ大正、昭和、平成と雰囲気の違った造りになっている。温泉は毎分1300~1500リットルも自然湧出する上質な湯。名物の「オリンピック風呂」は窓から渓谷の自然を楽しめるように横に細長くなっており、男湯が18m、女湯が13mもある。ほかにも、白布温泉で唯一だという、渓谷を眺めて湯浴みができる「露天風呂」もある。