■トラッカーズヒッチの基本は「Z」

Z型を作るのがポイント

   続いて、トラッカーズヒッチを解説します。

 このロープワークは、“滑車の原理”を使います。本来は「Zリグ」と呼ばれる動く滑車を使ってZ型を作ることにより、引く距離は長くなりますが、少ない力で引っ張ることができるというテクニックです。

 ちなみに、写真の場合はわかりやすくZ型を作り、引きやすい方向に向けています。

テントのループはシンプルが一番

 最近のテントのループは、自在が縫い付けられていたり、複雑化しています。しかし、昔ながらのループがあるテントやタープは、長いロープさえあれば簡単にZ型が作れるので、やはりシンプルなものが使いやすいように感じます。

見た目は一直線だが、構造としてはZ型になっている

 ループから伸ばしたロープをペグに通して折り返し、さらにもう1度ループに通して折り返すだけで完成です。たったこれだけでZ型の構造が作れて、トラッカーズヒッチと同じような効果があります。

 固定する時は引き解け結びで止めるだけです。長いロープさえあれば、じつはなんのテクニックもいりません。

途中に輪っかを作ると、長いロープでなくてもZ型が作れる

 もし長いロープがない場合は、ロープの途中に輪っかを作って、Z型にするのがよく見るトラッカーズヒッチです。輪っかは固結びでも構いませんが、3方向から引っ張られるため、一度力を加えると固く結びが解けなくなってしまいます。

 そこで使うのが、『引き解け結び』という方法です。

■「引き解け結び」で効率よく

固結びの片側をすべて通し切らずに結び目を作るだけ
ご覧の形が完成形。下側のロープを引くと簡単に解ける

 引き解け結びも、じつはただの固結びです。

 固結びをするときにすべてを通し切らずに、2つ折りにして入れるだけ。入れた方を引くと解ける仕組みです。靴紐のちょうちょ結びと同じ構造ですね。

 写真の場合、左に伸びたロープが固結び、下に伸びた方が引き解け結びになっており、2つ折りにして入れた右側のロープを引くことで簡単に結び目が解けます。

引き解けはペグ側に。これ、鉄則

 引き解けで輪っかを作る場合の注意点は、「ペグ側を引き解けにすること」です。間違えてテントやタープ側を引き解けにすると、テンションがかかって固く締め込んでしまいます。

 ここだけ間違えなければ、引き解け結びは完成です。グイッ!と引っ張り、解けないようにまた引き解け結びをするだけです。

 ちなみに複雑に見える「トラッカーズヒッチ」ですが、この引き解け結び(固結び)を2回繰り返すだけで作ることができます。

■基本を理解してから応用の結び方を付け足そう

ある程度できるようになってから新しい結び方に取り組むことが上達のコツ

 ロープワークを繰り返し行なううちに、「必要なロープの長さ」や「どちらを固定したほうが良いか」などが徐々に理解できるようになります。そうなる頃には、固結びを繰り返すのが億劫に感じてくるので、その時にもっと便利な結び方を導入すると良いでしょう。