天気が変わりやすいこの時季、予報が晴れになるのを見計らって、日帰り登山に出掛けたいもの。だけど、慌てて出かけるといつもの低山になってしまうし、かといって2000m級に行くにはそれなりの準備が必要で、残雪や交通渋滞なども気になるところ。今回は比較的登山者が少なく歩きごたえがあり、駅から出発できるためアプローチもしやすい、そんな埼玉県南西部にある奥武蔵の山塊を4座縦走するルートを紹介する。

 スタートは西武鉄道の西武秩父線芦ケ久保駅だ。歩き始めて5分としないうちに登山道となり、休みなく1時間ほど急坂が続くことになるので、広い駅前で出発準備を十分に整えたい。

 はじめに目指す二子山へは、兵ノ沢ルートを選択。出足からけっこうな上りで、沢筋を逸れるとさらに勾配がきつくなる。尾根づたいの道へ出たあたりからようやく呼吸が整いはじめるが、それもしばらくの間。二子山雌岳の直下は道悪で、200m以上ロープを頼った急登攀となる。雌岳の先を10分ほど登降すれば雄岳に到着し、出発からの所要時間は約1時間30分。どちらも山頂は広さがあり、一息つける。雄岳には展望もあるので、ここで敷き物を広げ、折り返していくファミリーもいる。

上りづめで1時間、この看板から先は尾根歩きとなる
尾根の登山道を行く。初夏は雑木林が最も美しい時期だ

 雄岳を急降したら次の焼山へは30分。ミズナラやブナなど、自然林の枝影が目に心地よい。低山とはいえ800m前後ある縦走路では、吹く風に稜線歩きの雰囲気が味わえるだろう。焼山に近づくと露岩が目立ち始め、山頂へはまたもロープを手繰って到着。焼山山頂からはこのルート一番の展望があり、武甲山や両神山、浅間山までも望むことができる。ここでしっかり足を休めよう。

焼山中腹から二子山を見る
焼山山頂から西への展望。武甲山と両神山を望む。さらに遠く北西には浅間山も見ることができる