香川県西部の桜の名所として知られる三豊市の紫雲出山(しうでやま)は、標高352m。米国紙・ニューヨークタイムズが「2019年に行くべき52エリア」の第7位に瀬戸内の島々を選び、その際に桜が咲く紫雲出山の夕景の写真を掲載したことで、ぐっと知名度が上がった。

 筆者は地元の三豊市詫間町出身。小学校のときは遠足で、中学校では国民体育大会の行事のボランティアで、大人になってからは初日の出の遙拝…と、幾度となく登った山。今回は世界が認めた紫雲出山の桜の美しさと、桜以外の見どころを紹介する。

■桜と海のコントラストが魅力

桜の紫雲出山から北側(本州方面)を望む。写真下側に見える集落は「箱」地区で、浦島太郎が玉手箱を開けた場所と言われている(写真提供:三豊市観光交流局)

 紫雲出山は、四国本土から瀬戸内海に突き出た荘内半島に位置する。一帯には浦島太郎伝説が残っており、玉手箱から出た煙が紫色の雲となってこの山にたなびいたことから「紫雲出山」という名前になったという。

 「2019年に行くべき52エリア」は、ニューヨークタイムズの電子版の特集記事。3年おきで今年開催される「瀬戸内国際芸術祭」をはじめ、芸術祭の会場となる島々について紹介されており、瀬戸内の「顔」として、紫雲出山の桜の夕景写真が掲載された。

 なぜ島の写真でなかったのかは謎だが、この半島は室町時代は「浦島」という名前の島であった。麓の海だった場所には「船越八幡宮」という神社があるなど、当時の様子をうかがわせる地名も残っている。

 ここの桜の魅力は、何と言っても海とのコントラスト。おすすめは山頂展望台からの眺望で、ピンクの桜と青い海を同時に見下ろす絶景は、紫雲出山ならではだ。

 また、山頂の東側にある第3展望台からは、粟島、志々島(ししじま)など塩飽(しわく)諸島の多島美を背景に桜を楽しむことができる。

 山頂園地にあるソメイヨシノは約1000本。例年3月末から4月初めに満開を迎える。