■桜以外にも魅力が
桜がクローズアップされている紫雲出山だが、それ以外にも魅力がある。
●紫雲出山遺跡
弥生時代の高地性集落跡。瀬戸内海を一望できる立地であることから、瀬戸内海を監視する軍事的拠点であったとも、戦争の際の逃げ城だったとも言われている。
山頂には、発掘調査で見つかった竪穴式住居と高床式倉庫を再現。すぐ隣には遺跡館があり、土器や石器を展示しているほか、眺めのよいカウンター席の喫茶コーナーもある。
●アジサイロード
桜だけでなくアジサイの美しさでも知られる紫雲出山。山頂付近には約2000株が群生しており、6月中旬ごろから見頃を迎える。
水色や紫など、ブルー系のものが多いのが特徴。花の色と空の青、そして海の青が幻想的な空間を演出してくれる。
40代の筆者が子どもの頃から当たり前の光景だった紫雲出山の桜だが、近年老木化が進んでおり、剪定などの対応を余儀なくされているという。地元では、募金を募ったり、アジサイのドライフラワーを販売するなどして、桜の保全に充てている。世界に誇る景色がいつまでも見られることを願ってやまない。