例えば、登山をするとき、一番楽しい時間はきつい坂道を登っている時間ではなく、山頂で休憩しているときに飲む1杯のコーヒーやラーメンを味わっている時間という人は多い。確かに、疲れた後のクールダウンの時間、美しい景色を眺めながらの食事はこれ以上ない至福のひとときと言える。そう考えると、山頂でコーヒーやラーメンを楽しみたいから登山をすると言ってもいいかもしれない。
そんなとき、多くの人はクッカーやガスバーナーなどの調理器具を使うのではないであろうか。確かに、これらがあれば、OD缶を中に仕舞え、スタッキングもできるし、コンパクトになるので非常に便利と言える。
しかし、こと登山に関していうと、リュックの重量を減らす意味では、ガスバーナーが必須であるとは限らない。こだわった調理をせずに、基本お湯を沸かすことをメインとするのであれば、アルコールストーブが最強だ。
■アルコールストーブ
アルコールストーブとは、アルコールを燃料に使い、お湯などを沸かすことができるコンロのこと。マグカップの中にストーブと必要な機器一式が収納できるため、片手で収まるほどのコンパクトさを持っている。さらに、シンプルな構造なので壊れにくい。タフなシチュエーションが多いアウトドアでは欠かせない重要な要素を有していると言えよう。また意外な利点として燃焼音が極めて静か。そのため、周りの雰囲気を壊すことなく、使用することができるのは嬉しいポイントだ。
使い方は簡単で、真ん中の大きな穴に燃料用アルコールを注ぎ、 そこに火をつけるだけ。その熱で外側に浸透したアルコールの気化が進み、火力が安定し、本燃焼するという仕組みとなっている。
■ガスバーナーとの比較
アルコールストーブに使う燃料はドラッグストアなどで気軽に安く入手することができるアルコール燃料でOK。ガスバーナーで使うガス缶は専門店でしか入手できないことを考えると、意外とこの差は大きい。
また、メーカーによるがアルコールストーブの重量は片手で収まる30g前後なのに対し、ガスバーナーはガス缶だけでも100g以上。これにコンロも加わるため、そこそこの重量となってしまう。登山などのアクティビティではこの差がダイレクトに疲れに比例してくるので、アルコールストーブのメリットがいかにあるかがわかる。
とはいえ、アルコールストーブにもデメリットはある。それはガスバーナーと比べると火力が弱いということ。そのため、お湯を沸かす時間がかかってしまう。とはいえ、400mlの水はおおよそ4分弱〜6分程で沸騰するので、余程のタイトなスケジュールを組んでいない限りは問題ないであろう。