油断大敵の冬の小遠見山・遠見尾根ルートについて

「スキー場からのアクセスでアプローチは楽チン!  その分いきなり危険な核心部へ」

●ちょっと待った!  そのトレース(足跡)でいいの?

 まとまった降雪があった翌朝は、ラッセルの重労働が待っている。先頭が一番大変なので、追いついたら声をかけて交代するのが山のマナーだ。

 バックカントリー目的の入山者と登山者では登高ラインが違うので、適宜見定めてラインを選びたい。

 ライン取り次第では沢状やノール状地形もあるので、極力回避するように。効率も大事だが、安全面を考慮してルートを判断したい。

●尾根を通過しよう!

 積雪状態にもよるが、「一ノ背髪」「二ノ背髪」あたりは細いリッジとなるときもある。とくに「一ノ背髪」北斜面は面発生の表層雪崩が起きやすい。トラバースするラインがついていても安易に踏み込まないように。先行者が大丈夫でも雪の安定度は刻一刻と変化する。

●雪庇に近寄らない!

 「二ノ背髪」から小遠見山まで間は、大規模な雪庇が稜線上南東側に張り出す。シーズン初頭はそれほど大きくないが、徐々に発達する。先行者のトレースをそのまま信用せず、慎重に歩行ラインを決めたい。目安としては北斜面の林(雪に埋まって灌木のように見えるかも)に沿うように歩くくらい。視界不良時にも要注意。

●雪山のコースタイムはあてにしない!

 雪山登山のコースタイムは、あってないようなもの。積雪の状態や天候次第で大きく異なる。パーティーの雪上歩行の熟練度でも左右される。スキー場の営業時間を含め、余裕を持った行動を。あくまでも冬の北アルプス北部の稜線上であることを忘れずに。

(信州登山案内人・北アルプス北部遭対協:杉村航)