■松ぼっくりはよく乾いたものを選ぶ

カサが開いているのがベスト。これは湿って閉じている状態

 続いては、松ぼっくり。その正体は、松の木に生る種子で正式名称は“松かさ”と呼ばれる。

 パイナップルのような形状は、見つけやすく、何かのギアのようにも見える。また松ぼっくりはこれからのシーズンに実るものだが、いつ地上に落ちるかは決まっておらず、一年中、あちらこちらで拾うことができる。特に風が強かった翌日の松林を狙ってみよう。

 また水分があるとカサを閉じ、乾燥するとカサを開くという特殊なメカニズムを持っているので、燃やしどきは一目瞭然。拾ってきた松ぼっくりのカサが閉じていたら、庭先で乾かしてから保管しよう。

こちらも先端から着火すること

 撮影時は乾燥が甘くカサが閉じていたが、これでも十分燃える。乾燥していても一気に燃え上がらず、チロチロと燃え続けるのが特徴だ。

 着火剤としてだけでなく、ネイチャーストーブ(薪ではなく枝や小枝を燃料とする超小型焚き火台)の燃料としても、折ったり切ったりする手間がいらない松ぼっくりは重宝する。

■天然素材で最強の着火剤は白樺の樹皮

見つけたら拾っておこう

 天然素材で最強の着火剤は、白樺の皮とされている。まず呼び名だが“シラカバ”は別名で、正式名称は“シラカンバ”という。

 福井、岐阜、愛知あたりまでが植生の限界で、それより西側には生えていないとされている。白樺の木は樹皮が白く、誰もがすぐに見つけられるが、自然の生育環境が限られるため、群生地が少ない。また国立公園や国定公園に生えている場合が多く、植物の保護対策として採取が禁じられている。拾おうとしてもなかなかお目にかかれない。入手困難なので、ネットでは高値で売られているほど。

驚くほどのスピードで燃え広がっていく

 燃焼時間は短いが、市販の着火剤や杉の葉よりも炎の勢いがずば抜けている。

 昔、読んだ山の本で「白樺の皮をお守り代わりに持っていく」と書いてあったが、何かあったときにこの炎があると思えば、確かに安心できるかもしれない。

 この記事を読んで、試してみたくなるかもしれないが、くれぐれも樹皮を剥がして採ってはいけない。杉の葉も松ぼっくりも同じことがいえるが、あくまで、「落ちていたら」拾うこと。