「インカーワーク」という言葉を聞いたことはあるだろうか。車内をオフィス化して、車のなかで仕事をするニューノーマルの生き方のひとつとして最近広まりつつある言葉だ。「キャンプなどの趣味を楽しみつつ仕事をしたい」「外でもコロナの感染対策を十分にしながら働きたい」といった多様な意見に応えてくれるのが、車内のオフィス化。

 今回は、インカーワークを実践してきた筆者が、できるだけコストをかけずに快適だと感じた商品や方法をお伝えする。

■カーインバーター1つあれば、車はオフィスになる

 車所有者であれば、スマホやiPad用シガーソケット型の充電器を基本的に備えているものだ。しかし、パソコンの充電となるとどうしてもコンセントが必要となり、どのような製品を使ったらよいかと迷ってしまう人もいるだろう。

 DC12V(直流12V)が基本となる普通車のバッテリーでは、一般家庭用電気(AC100V/交流100V)を対象につくられている家電製品を動かせない。そこで、直流電流を交流電流に変換する「カーインバーター(インバーター装置)」が必要になってくる。

今回使用するのはLST製の200Wカーインバーター。コンセント2口に加えて、USB給電が4口ついている

 多くのカーインバーターは、プラグ部分をソケットに挿入し、電源をONにすればあとは家庭用のコンセントと同じように使用できる。非常に簡単だ。

車のバッテリーを利用するので、車のエンジンをかけておく必要がある

しっかりと充電できていることを確認

 今回は、定格消費電力200Wを供給できるカーインバーターを購入し、試してみた。ノートパソコンの消費電力は50~100W程度と言われているので、200W供給のカーインバーターであれば問題なく充電ができる。

 もし消費電力が200W以上必要となる家電も試したい人は、高い消費電力の家電に対応したインバーターを選ぼう。ひとまず、仕事のためにノートパソコンだけ使用できれば問題ないということなら、200~300W供給のカーインバーターで十分だ。200W程度であれば、2000円台という手ごろな価格で購入できる(なかには2000円を切るものも)。

膝においてパソコンを使えればいいという方であれば、2000円ちょっとあれば車のなかで十分に仕事ができてしまう

 近頃は、通信量が大容量だったり無制限だったりするスマホプランは多いため、わざわざポケットWifiを購入する必要はないと筆者は考えている。そのようなプランを利用していれば、テザリング機能を用いてオンラインでパソコンを長時間利用するのも問題ないだろう。

 キャンプ先で電波が飛んでいるか心配になる人も多いだろうが、山の中でもひと昔前に比べるとだいぶ電波は良好になっている(筆者は3000m付近の雪山でパソコンを使って原稿を納品した経験もある)。ただし、遮蔽物が多い場所は注意だ。とくに多くの木々に囲まれているエリアだと電波がとどかない状態になることが多い。

 テザリング機能でビデオ通話をすると電波や通信量が気になる人もいるかもしれないが、筆者の経験上そこまで困ったことはない。4Gで電波が3~4本立っていれば自宅とそこまで変わらない状況でビデオ通話は可能だ。ちなみに、Zoomで1時間の通話を行った場合の通信量は500MB程度となっている(Calling調べ)。