■いよいよ雲上の花の楽園へ

山頂直下より駒ノ大池を望む

 3時間の登りの対価は、素晴らしい景色のご褒美だった。山頂直下にある素敵な山小屋「駒ノ小屋」のテラスで、まずは休憩をすることにした。持参したコーヒーを淹れる。ここで飲むと格別だ。

 駒ノ小屋は原則として、要予約で素泊まりでの利用が基本らしい。お弁当などは用意していこう。中を覗くと飲み物や記念になるお土産が置いてあって、ついつい財布の紐も緩んでしまう。裏手にはとてもきれいなトイレがあり、トイレからの景色がまた凄い。小銭を用意しておこう。 

ここまでくればコバイケイソウの大群生が待っている

 休憩を済まし、駒ノ大池を観察しながら駒ヶ岳山頂へ。池の周りにはハクサンコザクラが、「私もいますよ!」と咲き誇っていた。ここから駒ヶ岳山頂までは約20分。道中のコバイケイソウの大群生は見事の一言だった。山頂までは花や景色を楽しみながらの山歩きが楽しめた。

夏空を映す池塘。ワタスゲ揺れる木道をいく

 時間と体力が許せば、花と地塘のコントラストが美しいことで有名な「中門岳」へも行きたかったのだが
今回はここまで。いつか紅葉の時期に駒ノ小屋に泊まって、ここに来ようと心に決めた。タイミングが合えば紅葉と落葉と冠雪の「三段紅葉」が見れるらしい。1回ではもったいない、また再びここに来たい。そう思う山だった。

「山人料理(やもーどりょうり)」。昔から伝わる味、「はっとう」と新しい時代の味イワナのフライと一夜干しの素揚げ

 下山後のお楽しみは、檜枝岐の山人料理「やもーど料理」。イワナのフライや一夜干しの素揚げ、さらにデザートにと頼んだ、ソバ粉を練り込んだ餅にエゴマを付けて食べる「はっとう」は、じんわりとした自然な甘さが山旅の疲れを癒してくれた。その土地ならではの味も堪能でき、すっかり満足の山旅だった。夏の思い出に、こんな親子旅はいかがだろうか。