■春めき釣り日和となった解禁日

穏やかに晴れた空と白馬の山並み

 2/16に長野県内の多くの河川は釣りの解禁を迎えていたが、姫川漁協の解禁は2週間遅い3/1となっている。僕が足しげく釣りに通うエリアなので、シーズンインをするべく、フライロッドを片手に馳せ参じた。

 白馬、小谷村内を北に向かって縦断する姫川は、東西の谷から支流を集め日本海に注ぐ。源流は名だたるスキーリゾートを有する山々。当然この時期、標高の高いところは雪の中だ。当日は渓流でも姫川本流に比較的近い、積雪量の少ない場所を狙った。

 ここ数日、まとまった降雪もしばらくなく、気温も高め。心配していた雪代の影響もそれほどなかったので、釣りをするコンディションとしては申し分なしだ。寒さに震えることのない、快適な釣り日和となった。

■記念すべきシーズンイン1本目は・・・

うっすらとパーマークが残るレインボートラウト

 まずはシーズン中実績のある姫川本流と支流の合流点。落ち込みをしつこく狙って、ラインが吸い込まれた瞬間、すかさず合わせた。銀色に輝く可愛らしい魚体が宙に舞った。白系のヘアズイヤーニンフ(※1)にしっかりと食いついていたのは、18cmほどのレインボートラウトだった。イワナを想定していたので意表を突かれたが、まずは一本。小さいが記念に写真を撮って流れに帰した。

■雪の斜面を下った先では、良型イワナたちが出迎えてくれた

雪解けの沢の美しいイワナ

 移動すると、道路からほど近いポイントには先行者の真新しい足あとがついていた。雪上なので分かりやすい。大きく迂回して森の中を下流へ向かった。雪の積もった山の斜面を慎重に沢へ下りていく。徐々に雪が緩み出していたので踏み抜きそうで怖い。

まだ両岸に積雪がある支流

 春めいているとはいえ谷間は薄暗く、川面に魚の気配を感じない。流れに合わせてフライをしっかりと沈めてから、誘うように漂わせるとアタリがきた。小気味いい手応えを感じながら引き寄せ、ようやく今年初のイワナと対面することができた。

小ぶりのイワナ。そっと流れに帰す

 この後、周囲よりひときわ明るい淵で、さらに一本釣った。流れに帰しながら、ふと水中に目を凝らすと、流れにたゆたうイワナたちの姿を確認できた。うわずってきている。
水温を計ると7.8℃。
ここからが凄かった。一気にイワナたちの活性が上がったようで、ティペットに結んだマラブーストリーマー(※2)に面白いように反応してくれる。今日一番の良型もここから出てくれた。

鼻の曲がりだしたイワナ。この個体は斑が少ない

 同行していたルアーマンの友人も、泣き尺(※3)イワナを釣り上げて、ずいぶん楽しそうだ。 いいリズムで釣り上がりながら、それぞれ10本以上(良型が半分くらい)釣って終了とした。 今シーズンの釣果に期待をもたせてくれる、幸先のいい解禁日となった。

※1 カゲロウなど水生昆虫の幼虫を模したフライ。ヘアーズイヤーはその素材

※2 小魚を模したフライの一種。マラブーは鳥(本来はアフリカハゲコウ)のフェザー

※3 大物と呼べる1尺(約30cm)にわずかに満たないサイズ