◼️ネットの知識だけで、一人前の「猟師」になるのは難しい
では、「わな猟を始めよう」と決めたあと、どうやってノウハウを身につけていけばいいのでしょうか。
今では狩猟関連の情報がネット上に山ほどありますが、動画で得られる知識と現実の現場は違います。
「そもそも、どこに罠を仕掛けるのか」
「地域ごとに、どんな暗黙のローカルルールがあるのか」
「捕獲したあと、どこでどう処理するのか」
こうした生の情報は、実際に現場で教わらなければわからないことばかりなんです。どれだけ画面越しに情報を得やすくなっても、現場で直接教えてくれる先人の存在にはかないません。最初は経験者からアドバイスを受けながら始めるのが、上達への一番の近道です。
以前は、地元の猟友会に入ってベテランから基本を教わるのが一般的でした。今でもそうした文化は根強く残っていますが、最近では猟友会以外にも、初心者向けの団体やコミュニティ(「ハンターバンク」や「罠ブラザーズ」など)が増えているので、参加してみるのもいいでしょう。
若い世代が狩猟に参加しやすい環境が整ってきたのは、ありがたい変化です。僕も、たまたま近くにあった狩猟のコミュニティに参加し、仲間たちと一緒に2年ほどかけて狩猟の一連の流れを身につけていきました。
◼️土地所有者への挨拶と「解体場所」の確保は必須
最後に、山に入るうえで避けて通れないのが「地域の人との関わり」です。
狩猟では、まず土地の所有者を確認し、必要な許可や了解を得るために挨拶に行くことが大切です。山にも所有者がいるため、自由に入ってよいとは限りません。
先輩猟師さんが長年大切に使ってきた猟場に、何も言わずに罠を仕掛けたり、土地の所有者に挨拶もせず山へ入ってしまったりすると、トラブルの原因になります。山には、その土地で昔から受け継がれてきたルールもあるので、事前の挨拶やコミュニケーションは欠かせません。
また、獲物を捕獲したあとに直面するのが「解体場所」の問題です。僕はアパート暮らしなので、自宅で処理することはできません。最初に所属したコミュニティでは、地元の農家さんにお願いして、納屋の裏を使わせていただいていました。
水道や冷蔵庫を使わせてもらえる環境があるかどうかで、活動のしやすさは180度変わります。狩猟は山の中だけで完結するものではなく、地域社会の協力があって初めて成り立つ営みなのです。
※本記事は『今日の肉を獲りに行く』(KADOKAWA刊)の一部を抜粋・再編集したものです。