山へ入って罠を仕掛ける。獲物を解体し、肉として持ち帰り、最後はおいしく料理していただく。

 「獲るプロ」と「食う専門」を担当する2人の軽妙な掛け合いで、知られざる狩猟のリアルを発信してきた人気YouTubeチャンネル「ゆっくり獲って食うだけ」。その活動が、一冊の本『今日の肉を獲りに行く』(KADOKAWA刊)になりました。

 豪快な「猟師メシ」、山で出会う動物の生態、さらには動画では語り尽くせなかった泥臭い現実や、命と向き合う瞬間の緊張感まで。普段何気なく食べている「お肉」の見方が少し変わる、ディープな狩猟の世界が詰め込まれています。

 11月19日の発売を前に、本書から「狩猟の始め方」について、一部を抜粋してご紹介しましょう。

◼️免許を取ればすぐに始められるわけじゃない

狩猟免許取得者は年々増加中。わな猟の免許所持者は、全国で12万人を超えています

 「狩猟に興味があるのですが、まずは何から始めればいいですか?」

 狩猟をテーマにしたYouTubeチャンネルを運営している私たちは、視聴者の方からこうした質問をよくいただきます。

 まず必要なのは、狩猟免許です。でも、「免許さえ取ればすぐに猟ができる」というわけではありません。猟をする場所を探し、土地の所有者や地域の猟師さんとの関係を築き、獲物を解体する場所も確保する。狩猟は、そうした土台となる準備が整って初めてスタートできるんです。

 そもそも狩猟には、大きく分けて3つの方法があります。鉄砲を使う「銃猟」、くくり罠や箱罠を使う「わな猟」、鳥を網で捕獲する「網猟」です。それぞれ必要な免許が異なり、僕が現在持っているのは「わな猟免許」です。

 わな猟は、野山に分け入って獲物を追いかけるスタイルではなく、あらかじめ仕掛けた罠に獲物がかかるのをじっと待つ、どちらかといえば「静かな狩猟」です。

猟銃の管理が必要な銃猟に比べると、わな猟の方が入口のハードルは低め

 僕の場合、最初から「絶対にわな猟をやりたい」と決めていたわけではありません。自分の生活環境や働き方を考えた結果、自然とわな猟を選ぶことになりました。

 まず、銃猟は、銃の所持許可を取得するまでのハードルがかなり高めです。講習や試験だけでなく、身辺調査や医師の診断書など、多くの手続きが必要になります。さらに、安全上の理由から発砲できる場所にも制限があるため、僕が住んでいる地域のように住宅が隣接した場所では、猟場の選択肢がかなり限られてしまいます。銃を保管するためのロッカーを壁に固定しなければならないなど、保管環境を整える必要もあります。

狩猟対象となる鳥獣は、鳥類26種・獣類20種の計46種類もいます

 一方、網猟は取り組む人が少なく、始めるきっかけがありませんでした。ため池などで大きな網を張り、鳥を捕獲する伝統的な猟法もあるそうですが、僕自身はまだ実際に見たことがありません。

 その点、わな猟は必要な道具を比較的そろえやすく、住宅地のすぐ裏にある山も猟場の候補になります。僕は仕事をしながら狩猟をする「兼業猟師」としてスタートしたので、時間や場所の制約を受けにくいわな猟は、自分の生活スタイルに合っていました。