■稜線で迎える夜、こぼれ落ちそうな星空! そして夜明けのスペクタクル
日が沈むとお月見の時間です。当日は中秋の名月に近い月齢11。太った月が白々と輝く空ですが、星もしっかりと見えます。しかし、月が沈んでからが星空観察の本番です。夜中2時、隣に寝ていた同行者に小突かれて起きました。
「危うく寝過ごすところだった……」
まさにこぼれ落ちそうな星空には天の川もくっきりと確認できます。けっして届くことはないのはわかっていますが、つい手を伸ばして触れたくなるような濃厚な煌めき。何光年、何万光年も離れた銀河から届いた星々の光。悠久の時の流れの一端を感じずにはいられません。
朝5時、皆示し合わせたようにゴソゴソと起きだしました。山頂まではゆっくり登って15分くらい。(さらに奥を目指して早くに出発した以外)昨晩泊まっていたほとんどの人がいるようです。管理人さんまでいるのに気がつきました。
ちょうど秋分、東の雲の上から太陽が顔を覗かせると、シルエットだった人々の表情を明るく照らします。色を失っていた稜線が徐々に朱に染まり、雲の海に浮かぶ島のような月山や鳥海山、大朝日岳に向かって連なる峰々が様子はあまりに壮大で何度も何度もシャッターを切っていました。
■爽快な稜線歩き! ぐるりと巡って下山の途に
名残惜しいですが管理人さんに別れを告げて稜線を歩きます。スッキリとした秋晴れの空の下、小さなアップダウンを繰り返しながら延びる、気持ちのいい雲上の登山道。わずかな岩場やザレた片斜面のトラバースなど、ところどころ難所はあるものの、とにかく爽快です。紅葉した灌木や草紅葉の彩りが散りばめられた山肌に、いよいよ秋本番が近いことを感じます。
大鳥池を中心に、ぐるりと反時計回りに周回するようなルートですので、避難小屋もずっと視界に入りまるで見守られているかのような安心感があります。やがて三角峰を過ぎ、笹の海の向こうに沈む小屋。後半は急な斜面をぐんぐんと下っていきます。ブナの巨木が目立つようになると大鳥池はすぐそこです。
振り返ると、穏やかな表情の大鳥池の向こうに以東岳と以東岳避難小屋が見え、楽しかった滞在を思い出して少ししんみりとしてしまいます。往路を辿り七曲がりを下りますが、吊り橋がなかなか現れません。
「こんなに遠かったっけ?」
帰路、実りの秋を迎えた田んぼが西日に優しく輝いていました。温泉、そして山形ラーメンで満たされてハンドルを握ります。ぽつりぽつりと、また雨が降りだしました。まだしばらく雨が続きそうです。