■突然のハタキで一変! ヘラブナの乱入で強制終了も釣果は上々
順調に釣れ続いていた状況は、午前11時を過ぎた頃に一変する。立ち位置から数mほど離れた先で「バシャバシャ」と水面が弾け、ヘラブナによる産卵行動「ハタキ」が始まったのだ。
最初は単発的だった水音も、時間の経過とともに次第に激しさを増していく。やがて20〜30cmほどの魚体が目の前を行き交うようになり、その動きは明らかに落ち着きを失っていた。おそらく1匹のメスを複数のオスが追い回しているのだろう。数匹の群れが水路内を猛烈な勢いで右往左往する様子は、まさに暴走行為そのものであった。
それでもタナゴの反応は途切れず、ウキには変わらずアタリが出続けていた。水面付近では荒々しい動きが広がる一方、その下では小さな魚たちが変わらずエサをつついている。その対照的な様子がとても面白く感じられた。
しかし、そんな状況も長くは続かなかった。突然、ウキが勢いよく水中へと引き込まれる。次の瞬間には強い引きが伝わり、ヘラブナのスレ掛かり(ハリが口以外の体の部分に掛かること)であることを悟った。あっという間に仕掛けは切られ、お気に入りの親ウキごと持っていかれてしまった。
「やはり、こうなるか……」
釣果にはすでに十分満足していたこともあり、これ以上は無理をせず、この日の釣りはここで納竿とした。
約4時間の釣行で、タナゴは87匹、クチボソは11匹。あの騒動がなければ1束(いっそく=100匹)超えも見えていただけに惜しさは残るが、それでも十分に満足できる内容であった。魚たちは元気なうちに元いた水路へと帰した。
■春から初夏の牛久水郷へ。“虹を帯びた小さな宝石”を探しに出かけよう
春の水郷では、水路の環境変化によって釣果が左右されることもある。
この時期の水郷地帯では、代掻(しろか)きや田植えなどの農作業が始まり、水路の水が一時的に大きく濁ることがある。こうした濁りが入ると魚の活性は急激に落ち、釣果にも影響が出やすい。
しかし、濁りがおさまれば魚たちの活性は再び高まる。状況が悪い場合は、濁りの影響が少ない場所を探すか、無理をせず1〜2週間ほど間を空けてから再訪するのも一つの手である。
なお、タナゴの好シーズンは春だけではない。活性の高い状態は梅雨明け前まで続き、初心者でも数釣りを楽しみやすい季節が続く。
春から初夏へと移ろう牛久水郷の小水路では、色鮮やかなタナゴたちが釣り人を楽しませてくれる。休日のひととき、そんな小さな出会いを探しに出かけてみてはいかがだろうか。
※ 管轄漁協:牛久沼漁業協同組合
【注意事項】
春から初夏にかけて牛久沼周辺の田んぼでは農作業が盛んになってくる。軽トラックや小型重機の出入りが頻繁になるので、釣り場近くに車を停める際には農作業の邪魔にならないようくれぐれも注意しよう。もちろん釣り場でのゴミのポイ捨てなども厳禁である。
●【MAP】牛久沼周辺