霞丘陵(かすみきゅうりょう)は、東京都青梅市北部に位置し、飯能市との県境に広がる丘陵地帯である。この一帯のシンボルである塩船観音寺はツツジの名所として知られ、例年4月下旬から5月上旬に見頃を迎える。

 そんな霞丘陵の豊かな自然の中を縫うように続くハイキングコースでは、さまざまな植物や生きものに出会え、初夏の散策にぴったりだ。穏やかな起伏と里山の風景を楽しみながら歩ける、見どころ豊富なコースを紹介する。

■アクセス良好。JR青梅線・河辺駅からスタート

都営バスのバス停「塩船観音入口」から向かいの道路に渡って右折するとすぐに案内板が現れる。同名の「塩船観音入口」バス停が西東京バスにもあるが、降車位置は異なる

 ハイキングのスタートはJR青梅線・河辺駅北口。ここから都営バス、または西東京バスに乗車し、「塩船観音入口」バス停で下車。どちらも乗車時間は7分ほどだ。バスを降りて横断歩道を渡ると、ほどなくして右手に「観音通り」と書かれた案内板が現れるので右折して進もう。

塩船観音寺のつつじ園。2万本のツツジがお出迎え

 バス停から10分ほど歩くと、立派な山門が見えてくる。そこをくぐれば、塩船観音寺の境内だ。塩船観音寺は、約1300年の歴史を誇る古刹。山門を抜けると、阿弥陀堂や本堂(観音堂)が本坊と続き、その先にはツツジが咲き誇る丘が広がっている。さらに丘の上には、高さ約15mの荘厳な平和観音像が鎮座し、静かに見渡す。境内全体は明るく穏やかな雰囲気だ。

背丈ほどのツツジに囲まれて歩く

 お参りを済ませたら、平和観音立像を目指してつつじ園の丘を登っていこう。迷路のように入り組んだ園路を進むうちに、ふわりと甘い香りが漂ってくる。赤やピンク、白など、さまざまな色や大きさのツツジを間近に眺めながら、花の間を縫うように上がっていく時間が楽しい。

2025年の4月下旬の様子。遅咲きのツツジもあり、例年は5月上旬までが見頃

 平和観音立像の周囲は展望台になっている。右手には奥多摩の稜線が連なり、さらに遠くには富士山も望むことができる。見下ろすと、丸く剪定された2万本のツツジが丘を彩り、どこか可愛らしい風景が広がる。

■ツツジ以外の見どころもたくさん。霞丘陵ハイキングコースへ

七国峠、岩蔵温泉方面へ

 しばらく景色を楽しんだら平和観音像の裏手へ。霞丘陵のハイキングコースの入口となる金網のゲートがある。尾根道に変わり、歩きやすい林の中へと入って行く。ほどなくして案内板が見えてくるので、「七国峠(ななくにとうげ)方面」の案内に従って進んで行こう。

霞丘陵の谷沿いを歩く

 道はよく整備されており、案内表示も多いため迷う心配は少ない。15分ほど歩くと、広葉樹の雑木林に入る。足元にはシロツメクサやノアザミなどの野草が咲き、顔を上げれば藤の花が咲いていたりする。こうした季節の花々に彩られることから、このコースは「花の道」とも呼ばれている。

桜シーズンにも良いスポット

 雑木林を抜けた先、「愛宕山(あたごやま)グラウンド」分岐を左へ進む。やがて車止めが見えてくるので、そのまま進もう。ここからは、日当たりの良い広い道幅の桜並木の遊歩道が約1km続く。 春の桜の時期には、ここを目当てに訪れてもよさそうだ。新緑の季節は木漏れ日が心地よく、歩いていてとても気持ちがいい。

 道中、チョウやハチ、ハナムグリが忙しそうに蜜を吸ったり花粉を集めたりする様子も見られた。起伏が少ないため、寄り道気分で自然観察を楽しみながら歩けるのも魅力で、小さな子ども連れにもおすすめだ。

写真左/大きな羽音をたてて花に寄ってきたクマバチ。おとなしい性格で無理に追い払ったりしなければ刺されることはない。写真右/体色が美しいアオハムシダマシ