東京都内から電車とバスでアクセスできる奥多摩の三頭山(みとうさん・標高1,531m)。東京都西部に位置する手つかずの自然と登山道が広がる山域は、本格的なアウトドアや自然を満喫したい人にとって格好のフィールドである。

 森林浴・森林セラピー効果があることでも知られる癒しの森を抜けると、美しい渓流のせせらぎ、稜線からのダイナミックな山岳風景が展開する。

 都心から電車とバスでわずか2時間半の距離とは思えないほど、多彩な自然と景観に富んでいる。本記事では「迷わず歩ける登山道」「変化に富んだルートと自然」「見逃せない絶景スポット」の特徴を持つ三頭山の魅力を紹介する。

■都内から電車とバスでスムーズにアクセス

 三頭山は「都民の森」から登山をスタートするのが一般的なルートとなる。起点となるのは、JR武蔵五日市駅から西東京バスで約75分の「都民の森バス停」。バス停がすでに標高1,000m以上あるため、標高差を感じにくい。平日は比較的空いているルートだが、週末は朝早くからハイカーで賑わいを見せている。新緑の5〜6月、紅葉の10〜11月は特に人気が高い。混雑を避けたいなら、始発のバスに乗ることをおすすめする。

JR武蔵五日市駅バス停前の広場。商店はコンビニがあるのみ

■ブナ林の静寂と沢沿いのトレイル

 三頭山登山の最大の魅力は、登山道のバリエーションにある。ここで紹介する「都民の森」からスタートする周遊コースは、よく整備されたウッドチップの道から始まる。比較的フラットな道沿いには、シダやコケに覆われたブナ林が広がり、木漏れ日が心地よく差し込む。深呼吸をしたくなるような清浄な空気に包まれ、登山というより“森林浴”に近い感覚だ。

 途中、「三頭大滝」という高さ30mを超える美しい滝を望む展望デッキが現れる。新緑や紅葉の頃には、まるで一幅の日本画のよう。写真(撮影)好きには特におすすめのスポットだ。滝を過ぎると沢沿いのトレイルに入り、冷涼な水音とともに歩を進めることができる。

 このあたりの道は勾配も緩く、初心者やファミリーハイクにもぴったり。木製の橋や階段が設けられており、歩きやすく整備されている。

三頭大滝。高さ約30m