■後沢乗越から山頂までの急な区間と山頂へと向かう至高の木道

 四十八瀬川(しじゅうはっせがわ)沿いに登山道が並走しているが、後沢乗越の分岐に差し掛かると、ここから山頂までは急な区間となる。心肺に負担のかかるエリアだ。

山頂に向かう急な区間。鍋割山は歩荷(ぼっか・山小屋へ物資を担ぎ上げる人)の文化が残っており、道中では歩荷さんに出会うことも

 後沢乗越から山頂までは約1時間30分。尾根沿いに延びる登山道は標高をあげると同時に見晴らしのいい場所も増えてくる。春のはじめだとまだ木々は葉をつけていないため日もよく差し込むし、木々の間からの景色も楽しめるだろう。

■目の前に広がる「海」と山々の先に鎮座する日本一「富士山」

 急だった区間は山頂に近づくにつれ傾斜が緩やかになり、ふたたび木道で整備された登山道になるため非常に歩きやすい。大倉から約4時間で鍋割山の山頂に立つことができた。

 長いルートなので、山頂標識をみた際の達成感は大きい。やはり圧倒されたのは富士山の景色だ。鍋割山から富士山までは距離もあるはずだが、富士山の周りには大きな山がないため、圧倒的な存在感を感じる。

 山頂部が雪に覆われた富士山が最も美しい姿だと考える筆者としては、春の富士山が一番お気に入りだ。

日本一の山、富士山の絶景をみながら登頂の達成感を噛み締める

 鍋割山は丹沢南部に位置しているので、海の景色もみられる。海から一気に標高を上げているため高度感も楽しめるだろう。晴れていれば伊豆諸島や江ノ島なども見えるので海側の景色もおすすめだ。

 山頂エリアにはベンチが設置されているほか、山小屋(鍋割山荘)もあり、ランチ営業もしている。名物は鍋焼きうどん。冷えた体に染み渡る一杯でエネルギーを回復してから、下山にかかろう。

圧倒的な存在感を放っている、鍋割山から眺める富士山

 下山後は往路と同じく大倉バス停から都内へ。バスの最終便は季節・曜日によって異なるため、事前に神奈川中央交通のウェブサイトで確認しておこう。日没時刻と最終バスの時間を頭に入れたうえで、余裕を持った行程計画を心がけたい。

 アルプスからの雄大な景色は唯一無二だが、丹沢から見る相模湾や太平洋の景色はアルプスからは見ることができないため、こちらもやはり唯一無二の景色。春を迎えた中で足慣らしと絶景を求めて丹沢・鍋割山へと足を運んでみてはどうだろうか。

 

【大倉バス停から鍋割山ピストンコース】所要時間
大倉バス停(0:00)→ 後沢乗越(2:33)→ 鍋割山(4:03)→ 後沢乗越(5:08)→ 大倉バス停(7:30)
歩行距離:約16km
累積標高差:登り 1,264m、下り 1,264m
合計所要時間:7時間30分 

●鍋割山