■伊豆諸島最高峰の八丈富士でお鉢巡り
翌日は、西山である八丈富士(標高854.3m)を登ることにしました。“富士”の名にふさわしい美しい成層火山です。登山口から外輪山のふちまでは急な階段を一気に登る感じですが、脇につけられたコンクリート製のスロープと階段を足の疲れに応じながら交互に使いました。ふと見ると、未就学児の小さな子どもがファミリーで懸命に登っています。こりゃ負けるわけにはいかない、と筆者もエンジンをパワーアップさせるのでした。
階段を登りきると、そこはお鉢巡りの分岐点。外輪山のふちに到達したのです。順路に従い、時計回りでお鉢巡りをすることにしました。左手には海、右手には直径400mの噴火口が見えます。また、中央には阿蘇山や箱根山と同じような中央火口丘が鎮座しています。山ができた歴史を考えると、火山活動の計り知れないエネルギーに自然の偉大さを感じずにはいられませんでした。
お鉢巡りの道沿いには、低木のイヌツゲが一面に生えています。すねの辺りに常にイヌツゲの硬い枝が触れるので、意外と痛かったです。中厚手のズボンやひざ下までの長い靴下がおススメ。また、ぬかるみも点在していましたので、トレッキングシューズなど足回りもしっかりとしたいものです。
■雄大な南の海の生き物を楽しむ
八丈島は、もちろん海も大きな魅力ですし、温泉も数多くあります。そこで、島の南端付近にある「足湯きらめき」で温まりながら、海を眺めることにしました。
八丈島には、ザトウクジラが繁殖と子育てのために冬から早春にかけて集まってきます。以前、この場所に来た時に、偶然クジラを見つけることができたのです。すると、再びそのチャンスが巡ってきました。海面に白い霧のようなものが舞い上がりました。クジラが呼吸をしたときに上がるブロー(潮吹き)です。直後に真っ黒い背中も見えました。陸上からしかも肉眼でクジラを見ることができる場所はなかなかないでしょう。うれしい気持ちでいっぱいになりました。
さらに、漁船に乗ってのホエールウォッチングツアーにも参加してみました。そろそろザトウクジラが北の海に帰っていくラストチャンスの時期になってきました。しかし、大型バスほどの大きさのザトウクジラが尾を持ち上げて潜ったり、何度も大きなジャンプを繰り返したりして大サービス。十数名のゲストはみな歓声を上げて大喜びでした。
また、帰りの航路では、“幻の海鳥”と言われたアホウドリのダイナミックな滑空に釘付けとなりました。
海も山も森も、すべての自然に心を奪われた八丈島の旅。台風で大きな被害を受けた島ですが、復興に向けての動きが見られたのもうれしいことでした。人間の生活も自然も早く以前の様子を取り戻してほしいと願うばかりです。