■生きもののにぎわいのある森を散策
いっしんどう広場で一息ついたら、大丸山を目指して「金沢市民の森・鎌倉方面」と案内板に書かれた方へ進もう。ここからは緑豊かな尾根道を歩いていく。足元にはコナラやシラカシのどんぐりがたくさん落ち、時折野鳥の声が静かな森に響く。
途中、落ち葉をそっとどかすとヒガシニホントカゲが慌てて逃げていく姿も見かけた。以前10月に訪れたときは、長距離移動する蝶として知られているアサギマダラを見ることができた。こうしたことからも、この森が多様な生きものたちのすみかとなっている豊かな環境であることがよくわかる。
春には虫や小動物たちが活動を始め、植物も次々と若葉を出して森は一気に賑やかになる。秋冬には、寒さに備える生きものたちの知恵や工夫を観察できる。その小さなサインを見つけながら自然観察をするのも大きな楽しみのひとつだ。季節ごとに、そして植物の環境ごとに、さまざまな生きものと出会える素晴らしい森である。
また、近年タイワンリス(クリハラリス)の目撃情報が増えている。鎌倉方面から生息域を広げ、緑豊かな公園や里山、住宅街の樹林地などで活発に繁殖しているという。樹木の樹皮をはぐ被害や農作物への影響も報告されており、見た目は愛らしいものの特定外来生物に指定されている。見かけてもむやみに近づいたり、エサを与えたりしないよう注意したい。
■果たして横浜市最高峰「大丸山」とは……?
生きものたちでにぎわう森の中を30分ほど歩くと、横浜市最高峰「大丸山」へと続く階段が現れる。ここを上りきれば山頂だ。どんな景色が待っているのだろうかとワクワクしながら上り始めるが、この階段がなかなか長く、最後のひと踏ん張りを求められる。
階段を上がり切ると、東京湾や房総半島を一望する大丸山の山頂だ。海の向こうまで広がる景色は想像以上で、思わず「おお」と声が出てしまうほどの眺め。山頂は広々としており、ベンチやテーブルも設置されている。景色を眺めながら昼食をとるのにぴったりで、しばらく腰を下ろしてこの開放感をゆっくり味わいたくなる。
山頂の眺めを堪能したら、階段を下りて「横浜自然観察の森・鎌倉天園」方面へと進む。やがて「横浜自然観察の森」と呼ばれるエリアに入る。途中の尾根道から丹沢山塊を望める場所もあり、景色を楽しみながらゆっくり歩きたい。
さらに20分ほど歩くと横浜自然観察の森にある自然観察センターが見えてくる。ここにはレンジャーと呼ばれる案内人が常駐しており、館内には自然や生きものに関する資料や展示も充実している。入館無料なので、ぜひ気軽に立ち寄ってみてほしい。
帰りは、自然観察センターから徒歩約7分の場所に「横浜霊園前」バス停がある。ここから金沢八景駅、大船駅、鎌倉駅などの主要駅へ向かうことができる。
港南台の街を出発し、大丸山の山頂からの景色を楽しみ、横浜の森を堪能する今回のコース。街のすぐそばに、これほど豊かな自然が残されていることに驚くとともに嬉しくなった。みなさんも、都会的な魅力とはまた違った横浜の身近な自然の奥深さを感じてみてはいかがだろうか。
【港南台駅から自然観察センターまでのトレッキングコース】所要時間
港南台駅(0:00)→ 移動無線センター横浜中継所(トレッキングコース入り口 0:35) → いっしんどう広場(0:40)→ 大丸山(1:15)→ 自然観察センター(1:40)
歩行距離:約7.1km
合計所要時間:1時間40分
横浜自然観察の森(自然観察センター)
住所 〒247-0013 神奈川県横浜市栄区上郷町1562-1
電話 045-894-7474
開館時間 9:00〜16:30 月曜日休館(祝日の場合は翌日)および年末年始
ホームページURL https://sancyokohama.sakura.ne.jp/