■北摂最大級のミツマタ群生地の絶景!  斜面を埋め尽くす黄金色の絨毯

 杉林の薄暗い道を抜けた瞬間、突如として視界が明るく開ける。視線に広がるのは、イセコ谷の斜面を埋め尽くす黄金色のミツマタの世界だ。

斜面を埋め尽くす黄金色のミツマタ(画像提供:44ときわさん)

 ミツマタは和紙の原料としても知られ、『吉川村史』によれば、明治33年頃のこの地におけるミツマタの作付面積は「八千反」、すなわち約800ヘクタール(東京ドーム約170個分)もの広大な面積を誇ったという。

 現在、私たちが目にすることができるのはそのごく一部に過ぎないが、当時の圧倒的な規模を物語るかのような、密度の高い群生が見られる。

 手毬(てまり)のように丸く可愛い花を咲かせるミツマタ。風が吹けばほのかに甘い香りがするのがまた幻想的だ。うつむき加減に咲く白や黄色の花は、明るく華やかで「はんなり」という言葉がふさわしい。ぽんぽんと丸い「春の妖精」が斜面を埋め尽くす光景は壮観だ。北摂にこれほどの群生地があると知れば、関西のハイカーならずとも、その美しさに足を運ばずにはいられない。

●名前の由来は「三つ又」。子どもと楽しむ春の自然観察

 ミツマタは、その名の通り枝が必ず3つに分かれて伸びる。筆者は「森のランプ」や「枝の分かれ方」を教えながら子連れで歩いているが、子どもは花を見て「おいしそう」と答えるなど、観察の視点や捉え方は人によってそれぞれだ。下を向いて咲く独特な形を眺めながら、自由な発想で会話を弾ませるのもこの時期ならではの楽しみである。

●エドヒガンの古木「源治丸桜」も!  豊能町・吉川の春を欲張りに歩く

 とんぼ池手前の分岐を直進すると「源治丸桜(げんじまるざくら)」と呼ばれるエドヒガンの大樹に出会える。天を突くように枝を広げる圧倒的な生命力は、ミツマタに引けを取らない。目と鼻の先にあるため、ぜひ足を延ばして豊能町の春を存分に満喫してほしい。

■駅から1時間で別世界。初心者でも無理なく楽しめる旬の山歩き

 能勢電鉄・妙見口駅から歩いて約1時間の吉川地区ミツマタ群生地は、日帰りで旬を実感できる北摂最大級の貴重な群生スポットだ。今回紹介したルートなら初心者や身体を労わりたい方でも、生命力あふれる幻想的な世界に心が洗われるようなひとときが過ごせることだろう。

●アクセス・ルートの補足

 メインの「妙見口駅」ルート以外にも、出発地や山歩きの好みに合わせて以下のルートが選べる。

・箕面森町地区センターから: 「箕面森町地区センター」バス停から光が谷を抜ける舗装道ルート
・箕面森町地区センターから: 同バス停から「奥の細道」を経て青貝山を越えるルート
 ※青貝山は他ルートもあるが途中に険しい箇所があるため要注意
・駐車場から: 豊能町吉川支所横の「第2総合駐車場」を起点とし、住宅街を抜け「天台山1」の標識を目指す車利用時のルート

●【MAP】吉川地区ミツマタ群生地(とんぼ池)