■日本の原風景が広がる根場の里から絶景富士の王岳へ
●茅葺き屋根の「西湖いやしの里根場」から王岳山頂を目指す
茅葺き屋根の家々が建ち並ぶ美しい集落の景観を眺めながら、登山道へのアプローチを歩いていく。観光地としても整備されているこのエリアは、自動販売機やトイレも利用できる。
登山口から先も整備された道が続き、序盤は緩やかな傾斜の登り。やがて樹林帯に入り、自然の静けさに包まれた中で歩を進めていくと、徐々に傾斜がきつくなり、木の根や岩場が現れる。体力を要する区間もあるが、標高を上げるにつれて広がる展望が励みとなる。
王岳山頂に立つと、富士山の大展望とともに、スタート地点の西湖が小さく見える。西湖と富士山が織りなす絶景はまさに圧巻で、思わず足を止めて見入ってしまう光景である。
●岩肌の尾根を進み絶景を望む
山頂で眺望を堪能した後は、尾根道を経て鍵掛峠(かぎかけとうげ)方面へと進む。このルートは王岳のもう一つの魅力である静けさと自然美が際立つエリアである。足元には落ち葉や小石が多いため、慎重な歩行を心がけよう。
しばらく進むと今度は、苔むした岩や自然林に囲まれた尾根道が広がる。ここでは人の気配も少なく、野鳥のさえずりと風の音だけが聞こえる静寂な時間が流れる。道中の小ピークでは、再び富士山を望むことができ、そのたびに足を止めてシャッターを切ってしまう。
鍵掛峠まではアップダウンのある変化に富んだルートであり、自然の多様な表情を感じながら歩くことができる。王岳の奥深さを感じられるおすすめの区間だ。
●鍵掛峠のパノラマビューを満喫して下山へ
鍵掛峠から西湖いやしの里根場へと戻る下山ルートは、比較的なだらかな道が続き、再び樹林帯の中へと入っていく。森林の中を歩く静かな道は、登山の余韻を噛みしめながら歩くのにふさわしい区間であり、緑の合間から差し込む陽の光を浴びながら楽しもう。
道中にはいくつかの分岐があるものの、道標が適切に設置されているため、迷うことなく進むことができる。ただし、午後は薄暗くなることがあるため、ヘッドライトや懐中電灯の携行は必須である。天候によってはぬかるみもあるので、足元にも注意したい。
木立の間から茅葺き屋根が見えてくると、登山の終わりが近いことを実感する。下山後は、「西湖いやしの里根場」内の食事処で地元料理に舌鼓を打ち、伝統工芸体験で思い出を形にするのもおすすめだ。
●富士絶景と里山の風情を味わえる王岳登山
都心からのアクセスも良好で、富士山の絶景と山里の風情を一度に楽しめる貴重な山、王岳登山をレポートした。古き良き日本の文化が体験できる「西湖いやしの里根場」を起点に、美しい自然と静寂な山歩きを満喫できる点が大きな魅力だ。下山後は西湖周辺のカフェや温泉施設、自然体験スポットなども訪れると、旅の満足度はさらに高まることだろう。このレポートをきっかけに興味を持ってもらえたら幸いだ。