■塔ノ岳の頂へ

雄大な富士山を眺められる塔ノ岳山頂

 11時00分頃に、塔ノ岳山頂へと到着した。約3時間30分かけて、山の麓から塔ノ岳頂上へ登ったが、やはり標高差が大きく体力が必要なコースであった。山頂からは、空気が澄んでいることもあって、富士山を綺麗に見ることができる。塔ノ岳は別名として、「尊仏山(そんぶつざん)」とも呼ばれ、山頂から少し下った北斜面に有った、高さ7.5mほどの「尊仏岩(そんぶつがん)」が由来とされている。そんな尊仏岩だが、現在は現存しておらず、関東大震災の後に発生した丹沢地震で、大金谷へと転落したとされる。

 丹沢山地は、奈良時代から江戸時代にかけて山岳信仰が盛んだったこともあり、塔ノ岳山頂には、「狗留孫仏(くるそんぶつ)」の石祠が現在も大切に祀られている。修験の地としての歴史や文化を感じることができる山である。

 30分間の休憩時間を堪能し、11時30分に下山を開始した。来た道を全く同じように戻る下山ルートを選択した。登りの時には背にしていた相模湾の青と丹沢山塊の紅葉の朱と黄が一望できる景色を眺めながら下山するのは、格別に気持ちが良いものであった。普段はあまり下山を楽しいと感じたことはなかったが、この塔ノ岳は下山すらも楽しめる山であった。

■表丹沢の中心地 「塔ノ岳」

塔ノ岳山頂から表丹沢主脈へ

 丹沢山塊の中でもアクセスの良い表丹沢。その表丹沢で中心に位置する塔ノ岳は、過去から現代へと連綿と続く歴史を感じる「生きた山」である。昔から多くの人を魅了してきた山であり、その魅力をぜひとも味わってほしい。体力と時間を要するコースなので、暗くなる前には必ず下山を完了するように十分注意して、秋の登山を楽しんで欲しい。

 

●【MAP】塔ノ岳への登山口 大倉登山口

【大倉登山口から塔ノ岳ピストンコース】所要時間
大倉登山口 (0:00) → 堀山の家 (2:00) → 塔ノ岳山頂(3:30) → 塔ノ岳山頂 (4:00) → 堀山の家 (4:45)→ 大倉登山口 (6:50)
歩行距離:約13.2km
累積標高差:登り 1,280m、下り 1,280m
合計所要時間:6時間50分