■山頂まで続くブナ林

 ルート後半は徐々に高度を上げながら、ブナやミズナラなど広葉樹の中を進んでいく。夏場でも涼しさを感じるのは、この深い森のおかげだ。

 やがて、尾根沿いの登山道に入り、三頭山の山頂に近づくと雰囲気が一変。北峰・中央峰・南峰と3つのピークを持つ三頭山は、それぞれに特徴がある。

 なかでも「西峰」からの眺めは絶景。奥多摩の山並みを見渡す大パノラマが広がり、晴れた日には富士山の姿が遠くに浮かぶこともある。 

ブナの木々が続く尾根

■山頂からの大展望。本物の自然を体験できる場所

 山頂では視界が開け、風が吹き抜ける中を進む感覚が実に心地よい。登頂の達成感と自然との一体感を味わうことができる瞬間だ。

 標高は1,500mを超えるが、登山口が1,000m付近なので、高低差は約500mある。実際に登ってみれば「ちゃんと山を登ったぞ」と実感できるほどよい達成感が得られる高さだ。

 三頭山は登山道の整備が行き届いているだけでなく、商業的な施設が最小限に留められている。だからこそ、ハイカーは「自然の中にいる」ことをしっかりと感じられる山である。静かにじっくりと五感で自然と向き合えるフィールドと言えるだろう。

三頭山山頂(西峰)富士山や雲取山が一望できる

 三頭山では、アクセスの良さと自然の奥深さを両立した数少ない山行体験ができる。都心からの日帰りプランで、深い森、渓流、滝、稜線、絶景と、まるで山のテーマパークのように次々と風景が移り変わる。忙しい日常の中で、ただ自然に包まれたい、心身をリフレッシュしたいと思っている人にとって、三頭山の1日は、忘れられない登山体験になるはずだ。

稜線からの大展望
都民の森登山口から三頭山までのルート(国土地理院地図より引用)

都民の森登山口から三頭山までの周遊コース所要時間
都民の森登山口(0:00)→三頭大滝(0:45)→三頭山(2:15)→ 都民の森登山口(4:15)
歩行距離:約6.2km
累積標高差:登り 772m、下り 772m
合計所要時間:4時間15分

登山口までのアクセス
・公共交通機関 新宿駅からJR中央線、青梅線、五日市線で終点武蔵五日市駅下車 約70分。武蔵五日市駅バス停から西東京バス急行都民の森行きバス 約75分乗車
・車は中央自動車道上野原ICより甲武トンネル経由檜原街道で約45分

●【MAP】檜原都民の森