■山のお風呂は贅沢で特別なこと

お風呂に入って体を洗うって、下界では生活の一部であって特別ではないけれど、山では容易なことではない。だからこそ、その環境が整っていることがありがたく、温かかった。
特に稜線にある天水頼みの小屋では、お風呂だって毎日というわけにはいかない。「3日に1回はお風呂あり」と聞いていても、雨が降らずにしばらく入れないことだってある。自然環境下のことだから、これは仕方ない。「こんなの人間の生活じゃないわ〜」と怒って下りちゃった人がいたよ、北アルプスで働く友人から聞いたことがある。その友人は、雨が降ったらシャンプーを持って外に出るのは最高だと飄々と語っていた。ちょっと羨ましい。まあしょうがないと現実を受け入れて楽しめるのは、山小屋で気持ちよく働くための才能かもしれない。
■光小屋の場合

現在、テカリも熱源はガスと太陽熱温水器との二刀流だけれど、燃料の問題もあって毎日お湯に浸かれるわけではない。1年目はシーズンを通してどのくらいの燃料を使うかわからず厳しめの予測を立てたが、今シーズンは予約人数やお天気、お客さんの様子を伺いつつ入っている。太陽熱温水器で温かくなった天水を浴槽に張ってから沸かすので、ガスもそれほど使わずに済む。以前はバケツで運んでいたけれど、発電中に使用できるポンプを購入して自動で浴槽に移すことができるようになった。
それ以外は、シャワーになる大きな袋に温水器からお湯を入れて浴室に運び、「10Lチャレンジ」と銘打って体を洗っている。これが結構楽しい。
シャワー後は体と頭がスッキリして、小さな悩みはなくなって顔つきが変わる気がする。温かさに励まされるような感覚。今年はもう少し頻繁に恩恵を受けたい。