■杉林の中を歩いて山頂へ

松樹庵から奥之院思親閣までの道は「裏参道」と呼ばれ、杉林に囲まれた道を歩く。気持ちの良い杉林の中を進むと、途中で約0.8ヘクタールの土地に樹齢250年以上の巨木が260本並ぶ「千本杉」と呼ばれるエリアに辿り着く。ここは山梨県指定天然記念物に指定された場所で、巨木がずらっと並ぶ様は荘厳で神々しい。

松樹庵から1時間15分ほど進むと、追分感井坊(おいわけかんいぼう)に辿り着く。追分とは分岐点という意味で、ここから右に進めば奥之院、左に進めば赤沢宿となる。追分感井坊は、かつての参拝者の休憩所として使われていた場所で、ベンチが多く備えられている。ここから山頂へはさらに55分。山頂までもう一踏ん張りなので、ここでしっかり休んで体力を回復させよう。

最後の登りをなんとか歩き終えると、ロープウェイ奥之院駅が見えてくる。駅の隣にはベンチが備えられているので、ここから身延山山頂からの景色を満喫しよう。ここにはレストランや売店があり、身延山名物の湯葉を使ったうどんなどが食べられるので、山頂からの景色を眺めながら食べるのも良いだろう。
筆者は人気キャンプアニメ『ゆるキャン△』のキャラクターが初日の出を拝んだ際に食べた「みのぶだんご(500円)」を購入。高タンパクな湯葉を練り込み、くるみ味噌をかけた団子は久しぶりの登山でバテた筆者の体に染み渡り、疲れを癒してくれた。他にもよもぎだんご、竹炭だんごがあるので好みの団子を食べてみるのはいかがだろう。
身延山山頂からは南アルプスと富士山が眺められるものの、筆者が訪れた際は富士山は山頂だけ少し見えるのみ。しかもそれもすぐに隠れてしまったので、またリベンジ登山に行こうと思う。

帰りはロープウェイを利用して7分ほどで下山。筆者にとって今シーズン初の登山は夏登山前の良い運動になり、大満足なものになった。
【身延山ロープウェイ】
始発9:00、下り最終16:20
大人:1,600円(往復)、960円(片道)
小人:800円(往復)、500円(片道)
*中学生以上は大人料金、4歳以下は無料

■日帰り登山

日蓮聖人が法華経の根源道場として定められて以来、日蓮宗の総本山として信仰されている身延山を紹介した。登山コースとして利用できる参拝道には日蓮聖人ゆかりの地が多く、荘厳な雰囲気の中登山を楽しむことができる。ロープウェイを利用できるので体力に自信のない人でも楽しめ、都心からのアクセスも良好なので、本格登山シーズン前の足慣らしも兼ねて、その雰囲気や絶景を楽しんでみてほしい。シーズン初めの登山、体力に不安を感じたり体調が良くなかったらしっかり休むか、ロープウェイの利用に切り替えるなどして安全に楽しく登山に行こう。