■奇絶峡・不動滝と、東の展望台もはずせない!

奇絶峡の入口にある不動滝。凛として美しい

 高尾山登山は、奇絶峡(きぜつきょう)からスタートするのがポピュラーだ。ここは新緑や紅葉のシーズンになると観光客で賑わう田辺の名所の1つで、冬場は水が少ないものの、落差30mにおよぶ不動滝は見応え十分。お不動さまに無事の山旅を祈ったら、迫力の摩崖仏を経て急登を乗り越えていく。

 尾根に乗っ越してからは、高い尾根という名にふさわしい、心地のよい尾根風に吹かれて歩く。奇絶峡の入口から山頂までのコースタイムは、およそ90分。山頂から展望第一級のスカイパークまでは10分。絶景を求めて少しずつ移動しながら、山頂付近の見どころを巡っていくのが楽しい。

山上に突如として現れる真っ白な岩場。紀南の青い空が映える
東の展望所は高度感のある岩場が魅力

 さらに東へ10分の場所に、もう1つの絶景ポイントでもある東の展望台がある。むき出しの白い岩が風化した、いわば「山上のビーチ」のような風景に心が躍る。とはいえ、ここが低山だということを忘れてしまうほどの高度感。1,000mに満たない山でも、高所登山に訪れた気分にさせてくれるおすすめのスポットだ。

 紀伊半島の重厚な山岳がどこまでも続いていく風景がたまらなく好きだ。この風景のどこかを熊野古道が貫いているのかと思うと、ちょっと胸が熱くなる。そうそう、なにをかくそうぼくは熊野古道のアンバサダーだったりする。蘇りの道と呼ばれる熊野古道も、いずれベストなシーズンにおすすめしたいと思っている。

 下山は、登りで使った道をそのままピストンして戻ってもいいけれど、奇絶峡トンネルの方向へと下山するコースがおすすめ。登りとは異なる風景の変化を楽しめるし、登りの道よりも傾斜が緩やかになるのも、疲れが溜まってくる下り道には安心材料。もちろん油断は禁物だ。トンネルを抜けてスタート地点に戻る際には、県道29号を歩くことになる。車の往来にも注意したい。

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