天覧山(てんらんざん)は、埼玉県飯能市(はんのうし)にある標高197mの山。丘陵のような風情で、市民から愛されている里山のひとつ。もともと愛宕山(あたごやま)と呼ばれていたが、1883年、明治天皇が山頂から近衛兵春季小演習(このえへいしゅんきしょうえんしゅう)を統監(とうかん)したことから、現在の名称「天覧山」になったそうだ。

 天覧山と連なる多峯主山(とうのすやま・標高270m)も同じく人気で、山頂からの景観を目当てに多くの人が訪れる。

 飯能市から秩父(ちちぶ)市にまたがる、25kmにおよぶ山域を「飯能アルプス」と呼ぶ。飯能アルプス一帯には、西武秩父線の複数の駅からアクセスでき、自由度の高いコース選択が魅力。今回は、その玄関口である天覧山と多峯主山を紹介したい。どちらの山も子どもからお年寄りまで登れるように整備された登山道で、時季を問わず安心して歩ける山だ。

■飯能駅から商店街を抜けて天覧山・多峯主山へ!

賑やかな駅前商店街を抜け、登山口のある能仁寺を目指す(国土地理院地図より引用)

●飯能市と天覧山登山口へのアクセス方法

 飯能市へは、電車でのアクセスが便利だ。西武池袋線、東京メトロ副都心線・有楽町線、JR八高線(はちこうせん)といった複数路線が乗り入れている。西武池袋線には、飯能駅を終点とした特急列車も走っているのでおすすめ。

 飯能駅から天覧山の登山口までは、バスと徒歩の2通りがあるが、商店街や飯能河原(はんのうがわら)を眺めながらゆっくり徒歩で向かうのがおすすめ。女子高生が登山に挑戦するアニメ「ヤマノススメ」でもとりあげられた天覧山。作中に登場した商店街の店舗も多く、当作品とのコラボ商品なども販売されているので、それらを覗きながら聖地巡礼を楽しむことができる。

 なお、マイカーでアクセスする場合は、登山口の手前にある飯能中央公園の無料駐車場が利用できる。ただ、公園内の市民会館でイベント開催中の場合は、駐車場の開放が制限されていることがあるので、事前の下調べが必須だ。

【飯能駅から天覧山・多峯主山往復コース】所要時間
飯能駅 (0:00) → 能仁寺 (0:30) → 天覧山 (0:50) → 多峯主山 (1:30) → 能仁寺 (2:20) →飯能駅(2:50)
歩行距離:約8.5km
累積標高差:登り 503m、下り 503m
合計所要時間:2時間50分

■地域に愛される天覧山・多峯主山ハイキングコース! 山頂で待つのは関東平野の絶景パノラマビュー!

仁王像が出迎える能仁寺の山門。境内を通り天覧山へ向かおう

●飯能駅から商店街を通り、ハイキングコース登山口へ

 飯能駅から登山口のある能仁寺(のうにんじ)までおよそ1.3km、徒歩約30分。この区間には市営バスも運行しているが、飯能駅から登山口までは徒歩で行くのがおすすめ。アニメ「ヤマノススメ」の舞台となった「飯能銀座商店街」が駅前から始まり、アニメキャラとコラボした商品やグッズが並ぶほか、飯能の街並みを眺めながらの散策が楽しい。

 しばらく緑と川面が織りなす風情ある景色を眺めながら歩ける、飯能河原の遊歩道を進む。飯能市民会館と飯能市立博物館を過ぎたら、登山口のある能仁寺は目の前だ。登山口能仁寺から山頂までの距離は約700m、15分ほどの道のりとなる。