■初心者でも安心! 御在所山山頂までのハイキング

整備された御在所山山頂までの道のり

 山上公園駅から御在所山頂まで、遊歩道を歩く。高低差はほとんどないが、Mさんにはストックを貸し、ポーズを取って遊びながら扱い方を説明し、歩を進めた。

望湖台にて今にも叫びそうな様子のMさん

 山頂付近の琵琶湖を眺められる望湖台は、快晴時には最高の展望台となる。天空から見下ろすような最高の気分に皆テンションもMAX。Mさんの次の出会いに使用するための写真撮影会が開催された。

■山上公園駅にあるレストランでランチタイム

大好きな五平餅を食べるMさんと部下

 ロープウェイ山上公園駅に戻り、展望レストラン「ナチュール」で昼食タイム。東海地方出身甘党のMさんと部下は、五平餅を食後にチョイス。座ったのは鈴鹿山脈を見下ろすすてきな席で、ぜひ次回はMさんには新しいパートナーと訪れてほしい。

■いよいよ登山道へ

 腹ごしらえをし、いよいよ登山道へ歩き出す。御在所山のなかでも最もゆったり下山できる「裏道コース」を選択。距離も長くなく、傾斜も高低差の割には緩い。途中に藤内小屋があり、トラブルがあった時にも対応しやすいため、初心者にはおすすめだ。

 なお、今回はMさんの負担を減らすため、バックの中身は貴重品、ヘッドライト、タオル程度にし、それ以外のお菓子や飲料水などは全て筆者が担いだ。

 山を歩いたことのない人にとって、下りの登山道は恐怖そのもの。スキー初心者が滑り出し手前で立ち往生するように、Mさんもこの斜面を果たして降りられるのかと躊躇していた。

 そこで筆者がまず先にゆっくりとストックを使い下りてみる。そして元いた場所に戻り、今度は解説しながら、同じところに足を置いて下りるようにMさんを促してみた。

 すると思ったよりも簡単に下りることができた。適度に集中するように声掛けし、こまめに休憩をはさむ。集中を切らさないように歩くためだ。

初心者を登山に連れていく際は、こまめに休憩をはさむようにしよう

 休憩を挟みながら、3人で2時間かけて藤内小屋に到着した。小屋の外にあるベンチで、紅茶にはちみつを入れ、持参したおやつを食べる。

藤内小屋のベンチに座り、甘いお菓子でブレイクタイム

 Mさんは周りの景色を見渡してはちみつ入りの紅茶を啜り、新鮮な気分だと呟いた。岩に囲まれた沢で、カエデやナナカマドの色づいた葉を見ながら、清々しいMさんの顔を確認し、筆者もうれしくなった。

御在所山のおすすめ下山コース「裏道コース」の紅葉 

 藤内小屋からは高低差の少ない山道を歩き、車道に出てロープウェイ・湯の山温泉駅に到着。Mさんは隠れて足を引きずりながら、ほっとした表情を見せた。

 筆者は2人を車に乗せて「湯の山温泉 グリーンホテル」へ向かった。開放的な露天風呂で3人それぞれ汗を流し、Mさんを自宅まで送り届けた。がんばって付いてきてくれた感謝を伝えると、Mさんは爽やかに笑った。

■初心者を登山に連れていく難しさ

岩の上に座り町を見下ろすだけでも登山初心者にとっては、十分山気分だ

 Mさんも言っていたのだが、初心者を登山に連れて行くと「登山は思っていたものと全く違った」とよく言われることがある。

 山道を歩いて登らなくてもロープウェイや車で手軽に山の上に行けるという驚きもあるようだが、それ以外にも登山道や荒天時の様子がわからないため、持ち物やどの程度体力を消耗するのかはまったく想像できないのだ。

 そんな初心者を登山に連れていくと、不要な物を持参してリュックが重くなっていたり、疲れて急に歩けなくなったり、頭痛や発熱、転倒などケガの心配もある。

 すばらしい登山体験をしてもらうためには、やはり事前の打ち合わせや経験者による持ち物チェックが必須となる。

 今回はMさんの目的達成に合わせて、登りの行程や野外の食事を大幅に省いた。結果、山の雰囲気を味わい喜んでくれたので、筆者もうれしかった。

 ただ、山ガールに会えなかった。Mさんごめんなさい。

 

御在所ロープウェイから裏道登山道コース
ロープウェイ山上公園駅(0:00)→御在所岳山頂(0:15)→山上公園駅(0:30)→裏道分岐(0:35)→国見峠(1:05)→藤内小屋  ※休憩(3:00)→裏道登山口(3:50)→湯の山温泉駅(4:10)
累積標高差:登り280m、下り1,050m
合計所要時間:4時間10分

●【MAP】御在所山

※「御在所山」「御在所岳」所説あるが、国土地理院地図記載の「御在所山」を引用。