■道間違い、転倒、滑落、危険の多い八の沢!
一般的な行程では、1日目に札内川を進んで支流の八の沢出合付近でテント泊。2日目に八の沢を詰めて山頂往復して、同じ場所にテント泊。3日目に下山する。
八の沢からは徐々に登りの傾斜が増してくる。三股と呼ばれる滝のある地点からはさらに急登となり、落石、滑落の危険も高い。八の沢の源頭を越えると平坦な八の沢カールにたどり着く。ここまで来れば山頂は目前だが、崖のようなカール壁が立ちはだかる。しかし、左側の比較的傾斜の緩いところに踏み跡があるので、あとはこの踏み跡を辿っていけば山頂へとたどり着く。
■登りより、下りが要注意!
登山は登りの辛さを気にしがちだが、大きな危険は下りにある。疲労で集中力が途切れがちになり、ペースが遅いと日没時間などに焦りがでてしまう。通常の整備された登山道であれば、所要時間は登りよりも下りの方が短くなる。しかし、沢登りのような整備されていないルートでは登りも下りも時間は変わらない。場合によっては、登りより下りに時間がかかる。天候が良いときなどは山頂でゆっくりしたくなるが、そう長居する余裕はないだろう。
携帯の電波が届くのは、八の沢カールよりも上部だけ。それもキャリアによって強度は異なる。天気予報などを確認して、十分な余裕をもって下山にとりかかりたい。少しでも天気に不安要素があれば、すみやかに引き返す。無理な登頂は禁物だ。日高の沢では助けを呼ぼうにも電話は通じない。また、万が一の場合に備えてビバーク装備や余分な食料も必携装備だ。
ゆっくりでも歩き続けていれば、そのうち山頂へたどりつく、という山ではないのがカムイエクウチカウシ山。経験、知識、体力に判断力。全てを兼ねそろえた、山の上級者が登る、憧れの山だ。