■眺望の伊豆ヶ岳と足腰守護の子ノ権現をめぐる!  奥武蔵の魅力を満喫する飯能アルプス縦走コース

 正丸駅から正丸峠、伊豆ヶ岳を経て、子ノ権現へ至る尾根道は、飯能アルプスのハイキングコースの中でも人気の高いコース。尾根道の左右に広がるパノラマの風景が楽しめる。

スタート地点となる正丸駅前の売店。現在は「山小屋」という屋号でリニューアルしている

●正丸駅から五輪山を経て伊豆ヶ岳へ

 正丸駅を出発してしばらくは舗装道を歩き、点在する集落の中を進む。45分ほどで正丸峠と五輪山(ごりんやま・標高770m)との分岐点が現れる。正丸峠もいい景色が楽しめるスポットだが、今回は五輪山方面へ進もう。

 分岐の先はところどころで山の斜面から岩が張り出し、展望の開けるポイントがある。奥多摩の山々を眺めて休息を取りながら、先へ進もう。

 分岐から1時間弱で、広々とした五輪山山頂に到着だ。残念ながら木々に覆われ景色は得られないが、ベンチがあり休憩には適しているので小休止しよう。

 この山頂から先は「関東ふれあいの道」という長距離自然歩道を進む。整備された歩きやすい登山道で、気持ちのいい尾根歩きが楽しめる。

 五輪山から伊豆ヶ岳までの所要時間は30分ほどだが、途中で男坂と女坂の分岐が現れる。男坂は、岩登りの様相を呈する急峻なコースで、「関東ふれあいの道」ではない。滑落や落石の恐れがあるので避けよう。また、女坂は土砂崩れの影響により閉鎖されている。現在は、男坂と女坂の中間にある道が正式なコースになっているので、そちらを通り伊豆ヶ岳を目指す。

 伊豆ヶ岳山頂は標高850m、今回のコースの最高到達点だ。こちらも広い山頂で、多くの登山者が休憩ポイントとして愛用している。

伊豆ヶ岳山頂からは秩父の山々を見渡すことができ、多くのハイカーが休憩するポイントだ

●伊豆ヶ岳から関東ふれあいの道で天目指峠を経て、子ノ権現へ!

 伊豆ヶ岳から天目指峠までは、いくつかの山頂を越えてゆくので、アップダウンがありながら下る道だ。約3.5km、1時間30分の道のりで、標高差にして375mほど下ることになる。ただし、足場は主に岩がゴロゴロした道が中心になるので、気を抜かずに歩こう。なお、この尾根道は秋の紅葉が特にきれいなポイントで、筆者が訪れた9月中旬には、葉先が黄葉しはじめている様子を見ることができた。

 長くゆるやかな下りで、同じような景色が続くので緊張も緩みがちだが、季節の移ろいを感じさせる葉の色づきや、雑木林から時折望める景色を楽しみながら歩こう。峠に至るまでには「古御岳(こみたけ・標高830m」、「高畑山(たかばたけやま・標高695m)」のピークを越えていく。

 天目指峠は県道と接しており、先の子ノ権現へ進む体力に不安を感じる場合は、ここから西吾野駅へ直接向かうのも選択肢の一つ。

 峠を越えると再び上り坂だ。目指す子ノ権現までは1時間弱、もう一息、頑張ろう。

ほのかに色づきはじめた葉が、秋の訪れを思わせる
子ノ権現へ向かう途中、「古御岳」山頂を通過