■釣り場でリールの適用性を実施検証してみた

 実際の釣り場で、ベイトリールとスピニングリールの適用性を検証。それぞれのリールがどのような状況で効果的なのかを実際に釣りしながら考えてみることにした。

●フィールドでの検証

 岩壁からの海釣りで、スピニングリールをセットした竿とベイトリールをセットした竿の2本を用意して、ルアーでのクロダイ釣りに挑戦。そこで感じたそれぞれの使用感とその釣果をレポートする。

スピニングリールをセットしたロッド
ベイトリールをセットしたロッド
使用したルアー(オモリ+ワームのチニングタックル)

スピニングリールでの釣果
スピニングリールをセットしたロッドを使用した結果、残念ながらクロダイは釣れなかった。ただし、本命ではないがヘダイを1匹釣り上げることができた。岸壁から狙った岩礁帯へキャストを繰り返し、ポイントを細かく変えながらの正確なキャストができた。スピニングリールの特性を生かしたアプローチができたのではないかと考える。

スピニングリールでのキャスティング
本命ではないが、小ぶりのヘダイ1匹

ベイトリールでの釣果
ベイトリールをセットしたロッドを使用した結果、本命のクロダイを釣り上げることができた。ターゲットとするクロダイがいるであろう岩礁帯や障害物周りにキャストし、ルアーが海底に着底後、海底からルアーが離れないようにズル引きして誘い続けた。最初のうちはキャストのコントロールがうまくいかず狙ったところにルアーを届けられなかったが、徐々に慣れていった。キャストして着底させてルアーを引いて回収後にまたキャストする作業を手返し良く繰り返すことができたからこそ、結果として釣果を得ることができたのだと思う。

ベイトリールでのキャスティング
目的のクロダイをゲット!

■検証のまとめ

 岸壁のような環境下では、スピニングリールとベイトリールの適用性が異なることが明らかになった。ベイトリールはキャスティングに最初こそ手間取ったが、サミング(親指で行うブレーキの感覚)が身に付けば、狙ったポイントにキャストでき、かかってからのやりとりも不安な感じがなく、しっかりと魚を引き寄せることができた。

 根回り(障害物周り)に付く魚を狙うシチュエーションや、大物狙いに優れていることを実感。一方、スピニングリールは操作性や仕掛けの重量を問わないキャスト性能が有利であることを実感した。釣り場の環境に応じた適切なリール選びが釣果に影響することを再確認できた。

■釣りの新たな一歩:釣りの目的に応じたリールを選ぼう!

 スピニングリールは、キャスト時のトラブルが少なく、初心者にも使いやすい。1g前後の軽量ルアーから40g前後の仕掛けやルアーまで、狙ったところに簡単に投げることができ、淡水・海水を問わず多様なシチュエーションの釣りに対応する。

 また、ハンドルを左右に付け替えることができるため、左右どちらの手でも扱いやすい。さらに近距離のキャスティングにも適しているため、岸辺やボートからの釣りにも向いている。ただし、太いラインを使用すると、糸癖がつきやすくライン放出に影響を与える。また、耐久性に不安がある点も知っておきたい。

 ベイトリールは精密なキャストコントロールと高いパワーを持ち、特に大物釣りや障害物周りにいる魚を狙う時に向いている。親指の操作(サミング)により、キャスト時のライン放出とブレーキ&ストップを操作できるため、スムーズに効率的な釣りが可能だ。ただし操作には慣れが必要であり、キャスト時にトラブル(バックラッシュ)が起こりやすい点や、ハンドルの左右位置を交換できない点がある。

 スピニングリールしか使ったことのない人にとっては、ベイトリールの扱いが難しいように感じるかもしれないが、実際には釣り場の環境に応じた適切なリールを用いることで釣果に差が出ることを知っておいてほしい。

 スピニングリールはあらゆる釣りに使えるが、全ての釣りで平均点的な扱い。一方ベイトリールは大物狙いや障害物周りを狙う特定のシチュエーションで効果的。「汎用性を求めるならスピニングリール」「専門性を求めるならベイトリール」といった目安で選ぶのが良いのではないだろうか。リールの適材適所を理解することで釣りの幅が広がり、釣果を最大化できることを認識しておこう。