■要所に設けられた休憩スペース

 筆者お気に入りの表尾根だが、塔ノ岳までの道のりは長い。菩提峠から、ニノ塔、三ノ塔、烏尾山(からすおやま)、新大日といくつものピークを越えてようやく塔ノ岳に辿り着く。行動時間が長くなると、体力も必要となるが、ペースよく歩くためには適度な「休憩」が不可欠。

 表尾根には休憩を取りやすい場所が多く、要所にベンチが設けられている。長時間の休憩をしなくても、ザックを背負ったまま4〜5分座り、行動食と水分を取ることでオーバーヒートすることなく歩き続けられるはずだ。

鳥居山荘のベンチ。眺望もよいため、つい長居してしまう(撮影:山歩ヨウスケ)

 休憩できる場所がないと、ついつい歩き続けてしまい、結果バテてしまう。こんな失敗を筆者も重ねてきたが、表尾根を歩く時は適度に休憩をとり、最後までバテずに歩くことができるようになった。

新大日の休憩スペース。混んでいても大丈夫なよう、たくさんのベンチが設置されている。ここからも眺めはいい(撮影:山歩ヨウスケ)

■木ノ又小屋を越えたらゴールはもうすぐ。塔ノ岳山頂へ

長い道のりを歩き、目の前に迫る塔ノ岳山頂(撮影:山歩ヨウスケ)

 菩提峠からおよそ3時間30分、木ノ又小屋を通過するとゴールの塔ノ岳はもうすぐそこだ。最後の登りは急で、ここまで歩いてきた体には堪える。急ぎたい気持ちを抑え、ペースを意識しながら山頂を目指そう。

塔ノ岳山頂からは湘南エリアが一望できる(撮影:山歩ヨウスケ)

 塔ノ岳山頂に到着。目の前には、360度の大パノラマが広がる。富士山や箱根の山々だけでなく、麓の湘南エリアや相模湾も一望できる。

 丹沢山地は山の景色だけでなく、海の景色も楽しめるのが魅力だ。山梨や長野の山では、水平線はこんなに間近には見えない。

 海の景色に加えて、関東平野の眺望もよく、また丹沢山地の主峰・蛭ヶ岳(ひるがたけ)も望めるので、ぜひ行った時の楽しみにしておいてほしい。

山頂エリアに設置されているベンチ。心ゆくまで絶景を堪能できる(撮影:山歩ヨウスケ)

 塔ノ岳の山頂は広いスペースがあり、多くの登山者が昼食を楽しみながら景色を満喫している。気に入ったスペースを見つけて楽しんでほしい。

 菩提峠から塔ノ岳へは長時間の山行となる。時間配分などの計画はしっかりとしてほしい。危険な箇所も少なく、見晴らしもいいのでおすすめなのだが、行動時間が長くなるため経験者と行動することをおすすめしたい。

 5月からの向こう3か月の天候の見通しでは気温は高いと予想されてはいるが、山での油断は禁物だ。塔ノ岳は標高1,400mを超えるので、防寒対策をしっかりとして出かけてほしい。

 

〈登山ルート〉
菩提峠駐車場⇒(1時間20分)⇒三ノ塔⇒(30分)⇒烏尾山荘⇒(1時間)⇒新大日⇒(1時間5分)⇒塔ノ岳⇒(50分)⇒新大日⇒(1時間)⇒烏尾山荘⇒(40分)⇒三ノ塔⇒(1時間)⇒菩提峠駐車場

●塔ノ岳

住所:〒243-0112 神奈川県愛甲郡清川村煤ヶ谷