●案2 レンタル倉庫を利用する

 自宅近くにレンタル倉庫があり、当初は最も簡易的で妥当な案に思えた。カヤック収納スペースについては、倉庫に入れ込むため「外的環境」、「実現の難易度」も契約のみでクリアとなる。しかし、管理費が毎月4万円以上と高額で、レンタル倉庫の最上段(二段コンテナが積み上げられた二段目)にカヤックを移動させる場合、カヤックを引き上げる手段と労力の問題が浮上し、総合評価はNG。

●案3 隣家との間のスペースを利用し、カヤックを横置きにする

 狭いスペースではあるが、カヤックを立てて置くことで収納スペースの横幅はクリアする。奥行きも十分であるため「カヤック収納スペース」もクリア。「外的環境」については、屋根がなくカヤックはむき出しとなるが、日陰という点と防水シートを使えば、直射日光や雨や雪からカヤックを守ることは可能だろう。ただし、このスペースに大きなカヤックを一人で収納するのはNGではないが、なかなか骨が折れる。

横置きにすれば、カヤックは置けるが、なかなか狭いスペースだ

 いずれの案も、デメリットがあり簡単ではないが、案3がもっとも実現性の高いアイデアとなった。そして「収納のしやすさ」について思い悩んでいるとき、職場の現場で見かける奥行40~50cmで、横幅が90cm、高さは100cm程度の計測器や製品などを置く、移動できる什器を思い出した。

 カヤックが収納できる移動棚のような台車を自作すれば、費用対効果が高く、収納場所のアクセスも容易になるはずだ。

 自宅近くのホームセンターには、移動棚が複数存在していたが、カヤックを横置きにして安定的に固定できるものはなかった。インターネットで収納台車や移動棚を販売しているサイトも確認したが、筆者の購入したカヤックが置けて、隣家との間のスペースに入る横幅の収納台車や移動棚はない。

 結果、木材で組み上げ、キャスターを付けた収納台車を自作することにした。

■自作のカヤック収納台車の設計と製作

 早速、収納スペース、許容可能なコスト条件を整理し、収納台車の設計図作成に取り掛かった。

1.収納台車に必要な機能、性能を明確にする。カヤックのサイズ、重量、移動の容易さなどを考慮。
2.カヤックの安定性と移動のしやすさを確保するための重心位置と形状を決定し、使用するキャスターや 
部材を選定。使用する部材から収納台車の具体的な寸法を決める。
3.詳細設計を基に、台車の完成図を作成し、製造に移る。

台車を正面と側面から見た完成図
台車を上面から見た完成図

 収納台車は、隣家との間の狭いスペースに収容するために次の3点が重要な条件となる。

・カヤックを安定して置けること
・倒れないような構造であること
・隣家の狭いスペースでの容易な出し入れが可能であること

 台車は正面から見て凹の字の形とし、カヤックを正面から載せて押し込み、重いカヤックを持ち上げることなく安定して置ける構造とした。

 キャスターはこの木枠の前後と中間の6か所に設置。収納台車の前方、後方の下面に引っ掛かりを設け、収納時と、隣家とのスペースへの引き込み&取り出しの場合は、ガレージを下げる際に使用するひっかけ棒を活用する構造とした。

 ホームセンターで必要な部材を購入。木材はホームセンターで加工し、自宅でナットとボルトで組み立てる作業のみとした。

 電動ドリルを使用することにで穴空けはそれほど苦労なく加工でき、組立はほぼ半日程度(4時間)で完成した。木材のため、白で全塗装し、水分による腐食を防ぐ処置を行った。ついにカヤック収納台車が完成した。

まず台車とキャリアを組み立てる
骨組みを組合せていく
台車が完成。倒れず、安定している

 防水と直射日光の対策としてカヤックをシートで巻き、収納台車の上に載せてみた。重心は想定通りカヤックと収納台車接点に集まり、倒れることなく安定している。ひっかけ棒で隣家のスペースへの引き込みや引き出しも容易にできた。

ひっかけ棒を使えば、カヤック収納台車の引き込みも楽ちん
カヤック収納台車はひっかけ棒で引っ張るだけで引き出せる
カヤック収納台車の前後に取り付けたリングにガレージを下ろすために使用するひっかけ棒を活用