■黒薙温泉に立ち寄りもおすすめ
黒薙駅には周辺に遊歩道が整備されており、この駅で下車して絶景を見ながら散策するのも楽しい。駅を出て少し階段を上がると、黒薙川に沿って遊歩道が延びている。このあたりで周囲を見渡すとクラシカルな橋が見えるだろう。これは発電所に水を送る水路橋だ(※歩いて渡ることはできません)。
さらに道を進むと「後曳橋」が見えるポイントに。電車に乗っているときとは違った視点で橋の様子を楽しめるフォトスポットだ。
遊歩道を奥まで進むと、宇奈月温泉の源泉でもある黒薙温泉に着く。ここは峡谷最古の温泉宿。約28畳の広さがある大露天風呂を完備し、日帰り入浴も受け付けている。もちろんこの宿に泊まるというのもありだ。
■宇奈月温泉で観光も
トロッコ電車の始発駅である宇奈月駅には、宇奈月温泉の温泉街が広がっている。富山県の代表的な温泉地であり、美肌の湯として知られている。黒薙温泉を源泉とし、古くは木管をパイプ代わりにして黒部峡谷の断崖を縫って引湯されていたという。
駅を中心に飲食店やおみやげ屋が集まり、「湯めどころ宇奈月」などの日帰り温泉施設もある。また、2023年にリニューアルオープンした「黒部川電気記念館」は無料で見学可能。黒部峡谷の自然や電源開発の歴史、水力発電のしくみなどをジオラマシアターで楽しみながら知ることができる。
温泉街には旅館や民宿などさまざまな宿泊施設があり、各部屋に露天風呂を完備していたり、上質なお酒を豊富に取り揃えていたり、宿から駅が見えるなど、宿ごとのおもてなしがある。また、山や川だけでなく海も近いこのエリアは、毎朝漁港から仕入れた新鮮魚介が味わえるというから食事の充実度も期待大だ。
■黒部峡谷トロッコ電車へのアクセスをおさらい
黒部峡谷トロッコ電車の始発駅は宇奈月駅。そこに行くまでのアクセス方法をちょっとここで整理しておきたい。電車利用の場合、このエリアは「宇奈月」や「黒部」とついた駅が多く、ややこしいからだ。
新幹線利用なら、まずJR北陸新幹線の『はくたか』に乗車して「黒部宇奈月温泉」で下車。そこから私鉄の富山地方鉄道「新黒部駅」で乗り換え、終点の「宇奈月温泉駅」まで向かう。駅を出て5分ほど歩くと、黒部峡谷トロッコ電車の始発駅「宇奈月駅」に到着だ。
宇奈月駅から終点の欅平駅をトロッコ電車で往復すると、所要時間は3時間ほど。ただし、10月頃の全線開通予定を待つ現在は、猫又駅までの往復となる。その場合は往復の所要時間が1時間40分ほどになり、欅平駅を往復するより運賃も安い。
そう考えると、より手軽にトロッコ電車を利用できるうえ、宇奈月駅に戻ってきてから温泉街を楽しむ時間がたっぷりとれるといえるだろう。初夏へと向かうこれからの時期は、山々の新緑が鮮やかになっていく。赤い橋やエメラルドグリーンの湖などがより映えて、トロッコ電車からの眺めが格別なものになるだろう。
●MAP「宇奈月駅」