■迫力ある北アルプス、八ヶ岳の姿が間近に
中央アルプスの手前には、南アルプスの前衛峰・守屋山がすそ野を延ばしている。その麓に輝くのが諏訪湖だ。こちら側は“霧ヶ峰”の一角にある山だけれど、守屋山はその昔“晴ヶ峰”と呼ばれていたことがある。向こうは晴れやすい地形で、こちらは霧のかかりやすい地形ということが想像できる名前だ。
緩やかで歩きやすい地形は目標物が見つけづらいため、霧や吹雪の時には道迷いしやすく十分な注意が必要。このことを念頭に、急な天候の変化にも備えておきたい。
30分も登れば、稜線に乗越す。ここまで来ると、迫力ある北アルプスの姿がより間近になる。あちら側は鷲ヶ峰よりも日本海に近く、かつ、標高が高い山岳の集まりだけに、雪の降り方は桁違い。雪にふわりと包みこまれる険しい岩稜の中にあって、ひときわ鋭利な姿を見せているのが槍ヶ岳だ。
北東から東にかけて目を向けると、浅間連峰や上越国境にある雪深い山々も確認できるだろう。その間には無数の低山の山並みが幾重にも続いている。
広い山頂にはベンチがあるので、人が少なければ本当にのんびりすることが可能だ。気圧や気温の低さ、風の強さなどによっては湯を沸かすのが大変だから、大きめの保温ボトルが大活躍する。ぼくはお守りとして熱いハチミツ湯を入れて、雪山に持っていく。頬をさす冷たい空気の中で飲むハチミツ湯が、劇的に美味しいのだ。
帰りは諏訪の大衆浴場、片倉館が気分。大人の背丈でいえば胸元までの深さの千人風呂が名物で、底には小石が敷き詰められている。やや熱めのお湯の中で小石の上を歩くと、足の裏が痛くて気持ちがいい。登山後の足のケアにぴったりで、それがまたクセになる。
<低山トラベラー厳選。鷲ヶ峰周辺の立ち寄るべきスポット>
・【駐車場】八島ヶ原湿原に駐車場あり。トイレは冬季閉鎖なのでご注意を
・【温泉】テルマエロマエの撮影に使われた、雰囲気抜群の「片倉館」。お湯は熱め
・【温泉】上諏訪温泉の「大和温泉」も味わい深くて好き
・【食事】定食のファーストチョイスは「まとい食堂」の一択
・【食事】長野のローカルラーメンチェーン、みんなの「テンホウ」も好き
・【カフェ】仕上げは「AMBIRD」の温かいコーヒーで