山登りをするようになると、一度の山行でできるだけたくさんのピークを踏みたい、そんなことを思うようになる。日帰りは気軽でいいが、山の上で1泊すれば時間や体力にも余裕ができるので、翌日に別の山を登ってから下山することも可能だ。

 今日は南八ヶ岳にある「青年小屋」をベースに1泊2日で権現岳(ごんげんだけ)、西岳(にしだけ)、編笠山(あみがさやま)の3つの山に登るルートを紹介する。

■「遠い飲み屋」青年小屋・八ヶ岳最南端の山小屋

編笠山から見た青年小屋。奥には権現岳が見える(撮影:山歩ヨウスケ)

 青年小屋は標高が約2,400m付近にある山小屋で、八ヶ岳最南端の山小屋として、八ヶ岳縦走をする人たちでも賑わう小屋だ。山小屋での宿泊や、テント場もあるのでキャンプも可能。入り口には「遠い飲み屋」の提灯が下り、訪れる人を楽しませてくれる。酒好きにはたまらないであろう。飲み屋というだけあってお酒の種類は豊富だ。

 そんな青年小屋からは権現岳、西岳、編笠山へのアプローチが可能で、1泊すれば余裕を持った行動ができる。

 青年小屋へのアクセスは「観音平」登山口から目指すのがいい。登山口まで中央自動車道・小淵沢ICからのアクセスがしやすく、青年小屋まで3時間もあれば到着できる。

青年小屋のテント場・フラットな場所が多く、木々に守られているので風に吹かれにくく快適(撮影:山歩ヨウスケ)

■急登、鎖場が続く権現岳

ギボシから見る権現小屋(閉鎖中)と権現岳山頂(撮影:山歩ヨウスケ)

 青年小屋からまず目指すのは権現岳だ。標高2,715mの山で、今回紹介する三山の中では一番標高が高い。急登、鎖場、ガレ場があるのでヘルメットがあると安心だ。行動時間は往復で2時間30分ほどで小屋まで戻ってくることができる。

 青年小屋を出発するとすぐに急登になる。途中、「のろし場」からはガレ場、鎖場の連続になるので注意が必要だ。

のろし場から見るギボシと奥に小さく見える権現岳山頂(撮影:山歩ヨウスケ)

 権現岳山頂まで、西ギボシ、東ギボシを通過していくが、鎖場などが続き、緊張するのは東ギボシまで。東ギボシの山腹を過ぎると、権現小屋に到着する。

 権現小屋は現在閉鎖中ではあるが、外には腰掛けられるベンチが設置されているので、休憩することも可能だ。権現小屋から山頂までは5分とかからずに到着ができる。

権現岳山頂直下。山頂の岩場の向こうには富士山が見える(撮影:山歩ヨウスケ)

 小屋から1時間20分、山頂に到着。山頂の岩を登ると標識と石祠がある。山頂にそびえる岩塔は信仰の対象だったらしく、修験者も多く入山していたそうだ。

山頂の岩塔にある標識と石祠(撮影:山歩ヨウスケ)

 山頂にはスペースはなく、風も吹き付けるのでのんびりはできない。休憩は権現小屋まで戻ってからがいい。